市場動向は今後も開発ニーズ見込む
ESRのスチュアート・ギブソン代表取締役は5月23日、川崎市川崎区東扇島で竣工した国内最高層のマルチテナント型物流施設「ESR東扇島ディストリビューションセンター(DC)」のメディア向け内覧会を開催したのに合わせて、施設内で記者会見した。
ギブソン氏は、近隣で2025年に着工する見通しの2棟目の物流施設で、先進技術を積極的に活用し、庫内作業の効率化支援や従業員用アメニティ設備の質向上を図る構想を発表。具体的には、新たに商用ドローンの設備を導入したいとの考えを示した。ドローンを荷物配送などに使うことを念頭に置いているとみられる。
また、供給過多傾向が見られる物流施設市場の動向に関し、国内の倉庫のうち9割は依然、古いものが使われていることに言及、今後も開発のニーズが見込まれるとの前向きな見方を明らかにした。
会見するギブソン氏
ギブソン氏は、東扇島DCの全面稼働時には約3000人の雇用創出効果があるとの見方をあらためて説明。「今、労働者の確保が非常に難しい。(自社開発の物流施設で)働く人にハッピーになっていただきたいというマインドで取り組んでおり、自分たちがここで働きたいかということを念頭に置いて、物流施設を造っている。(企業運営で)一番のコストは雇用だと考えており、より雇用しやすいような環境を提供したい」と強調した。
労働力の確保・定着のため、託児所といった多様なアメニティ設備の導入などを図るESRの基本理念「HUMAN CENTRIC DESIGN.(人を中心に考えたデザイン)」を引き続き踏襲していく姿勢をアピールした。
神奈川県内での物流施設開発については、25年に着工し28年以降の完成を見込む東扇島エリアの2棟目「ESR東扇島DC2」と、同じく横浜市金沢区幸浦で計4棟を建てるプロジェクトの3棟目に当たり、今年9月に着工する「ESR横浜幸浦DC3」を紹介。
東扇島DC2に関し、現行の東扇島DCとサイズやスペックがほぼ同程度になるとの見通しを明らかにした上で「商業用ドローンが使える設備を造る予定」と語った。政府が昨年12月、都市部上空でドローンが補助者を置かずに目視外の遠方まで自律飛行する「レベル4」を解禁したことを踏まえ、東扇島DC2が竣工する2028年ごろにはドローン物流の動きが相当広がっているとの期待をにじませた。
(藤原秀行)