日本から海外への「片道」にも利用可能、資材廃棄削減図る
パナソニックは6月20日、厳格な温度管理が必要となる医薬品や治験薬などの国際間輸送を対象に、日本から海外への片道輸送にも堅牢な真空断熱保冷ボックス「VIXELL(ビクセル)」を使えるレンタルサービスを7月5日に開始すると発表した。
利用したVIXELLは、パナソニックと協力会社の物流ネットワークを活用し海外で回収、再利用する。保冷剤や保冷ボックスの廃棄を削減し、輸送の環境負荷低減を図る。
(プレスリリースより引用)
先進医薬品などのバイオ医薬品や治験薬の輸送は厳格な温度管理(2~8℃の温度帯など)が求められるケースが多く、温度調節された保冷剤を医薬品とともに保冷ボックス内へ収納、輸送している。
しかし、輸送後は使用済みの保冷剤や保冷ボックス、温度ロガーを、労力とコストをかけて輸送元に戻すのは現実的でなく、1回限りで廃棄されるケースが一般的。そのため、廃棄による環境負荷にとどまらず、使い捨てを前提とした一般的な保冷ボックスでは堅牢性も不十分なために輸送途中に保冷ボックスが破損し、温度逸脱により医薬品が毀損する事例が起きていることも課題だった。
新サービスは、VIXELLの強みの堅牢性を活用し、使い終わったボックスを回収・再利用できるようにしている。ユーザーにとっては従来の使い捨て保冷ボックスと同じような手軽さでVIXELLを利用できる上、廃棄物を出さない循環型の仕組みを構築することで、サーキュラーエコノミー(循環経済)への貢献を果たせると見込む。
さらに、オプションで保冷剤の事前凍結や、温度ロガーの回収・再利用、リアルタイム監視型温度ロガーによるデータの遠隔回収サービスも用意している。厳格な温度管理の輸送ニーズに応えるサービスも提供する。まず欧州や米国向けの貨物を対象にサービスを開始し、順次対応エリアを拡大する構え。
(藤原秀行)