クラウドサービスで業務DX促進
海運業界向けのシステム開発などを手掛けるエイ・アイ・エス(AIS)は7月20日、日本郵船と一層の人手不足深刻化が懸念されている曳船(えいせん、タグボート)業界の労働環境改善に向け、デジタル技術を活用する「曳船DXプロジェクト」を立ち上げたと発表した。
AISが提供している船員向け労務管理システム「TRANS-Crew」(トランスクルー)に勤怠管理や手当計算を効率化する機能を2023年内に実装する。
日本郵船×AIS
曳船の船員は、他の船と違い乗船期間は短く、複数の船への乗り換えが頻繁に発生し、船員の配乗管理は複雑で突発的なことが多くなっている。そのため、曳船会社は船員の乗船計画と実績のひも付けといった勤怠管理や、乗船時の役職や時間帯に連動して変わる手当の複雑な計算に多くの時間と労力を費やしている。
1日複数の異なる乗船、臨時の役職変更、配乗計画とのデーター連携など、システム運用が困難だった業務課題をクラウドサービス「TRANS-Crew」で解決できるようにする。
併せて、これまでアナログ管理やエクセルで管理されていた、海運会社特有の複雑な手当集計(執職、通狭、当直、欠員、港泊など)を「TRANS-Crew」で入力・集計し、市販の給与システムと円滑にデータ連携できるようにする。
リリースは段階的に行い、今秋には第1段を、最終リリースは年内をそれぞれ計画している。
各種手当の入力画面
船ごとの労働時間一覧
AISの「TRANS-Series」は、日本船主協会加盟会社の30%以上が導入しているという。
(藤原秀行)※いずれもAIS提供