丸紅、英企業と化学品海上輸送時の船舶CO2排出削減支援システム共同開発へ

丸紅、英企業と化学品海上輸送時の船舶CO2排出削減支援システム共同開発へ

検証で平均15%抑制の効果、基礎モデル確立目指す

丸紅は8月8日、船舶の運航支援システム開発を手掛ける英国のBlue Visby Services(ブルー・ビズビー・サービシズ)と、船舶の目的地到着の最適日時を通知する統合システム「Blue Visby Solution(ブルー・ビズビー・ソリューション)」のカスタマイズ版「Blue Visby Prototype/Chemicals(ブルー・ビズビー・プロトタイプ/ケミカルズ(仮称)」の開発に関する意向書を締結したと発表した。


目的港付近で入港待ちする船舶


本システムによるCO2削減シミュレーションの結果(丸の大きさは削減可能なCO2排出量の多さを表している)

丸紅は、2022年8月に本システムの開発に取り組む自主的な組織体「Blue Visbyコンソーシアム」に加盟し、日本海事協会の100%子会社NAPA(ナパ)とともに、丸紅が運航するガス・化学品用のタンカーで本システムを用いたCO2排出量削減に関する検証を実施。その結果、運航・用船した68船・合計625航海で、平均約15%のCO2排出量削減を確認できたため、Blue Visby Prototype/Chemicalsの開発に向けた意向書の締結に踏み切った。

本システムは、速く航走し目的地近辺で待機する「Sail Fast, then Wait」という貨物船の慣習による非効率な燃料使用を改善し、CO2排出量の大幅な削減を実現することを目的に設定。中立かつ独立したプラットフォームとして展開し、IMO(国際海事機関)が2023年に始まった国際海運全体の燃費改善を促進する枠組み「CII燃費実績制度」への対策としても活用できると見込む。

Blue Visby Prototype/Chemicalsは、Blue Visbyコンソーシアムからスピンアウトする形で、丸紅とBlue Visbyの2社間で本システムを化学品全般の海上輸送向けに応用する。貨物に応じて、CO2排出量削減に向け最適な到着日時を通知するシステムの開発は、世界初の試みとなる。システムを確立することで基礎モデルとして位置付け、様々な貨物向けにカスタマイズ版を開発できるようになると期待している。

丸紅は、これまでの多岐にわたる化学品取引のネットワークを通じ、Blue Visby Prototype/Chemicalsの実証・実装を支援し、化学品の低炭素輸送を促進したい考え。

<Blue Visby概要>
会社名:Blue Visby Services Ltd.
本社所在地:Minster House, 42 Mincing Ln., London EC3R 7AE, England
設立:2021年7月
代表者:Pekka Pakkanen, Christian Wounlund
事業内容:船舶の運航支援システム開発

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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