エア・ウォーター、効率的な燃料供給可能な新型「LNGタンクローリー」を開発

エア・ウォーター、効率的な燃料供給可能な新型「LNGタンクローリー」を開発

海運のCO2排出削減貢献目指す

エア・ウォーターは8月10日、脱炭素化の流れを受けてCO2排出削減に取り組む事業者が増加することを踏まえ、海運業界のLNG(液化天然ガス)バンカリング(船舶燃料供給)向けに、大型LNGタンクローリーをはじめとした新型「LNGタンクローリー」を開発したと発表した。

同社は1990年代から産業ガス事業で培った極低温技術やエネルギー供給事業者としての事業基盤を活かし、LNGの普及に貢献するLNG輸送機器や供給設備のエンジニアリングサービスを展開してきた。LNGタンクコンテナ・ローリーなどの関連輸送機器では国内トップシェアを有している。

多様なニーズに応えるため、海運業界のLNGバンカリング向け「大型LNGタンクローリー」、LNG消費量が中小規模のユーザー向け「ポンプ付きLNGタンクローリー」を開発。また、輸送効率を高めるために積載量を増加させた「14.2t積載LNGタンクローリー」も以前から進めていた設計が完了した。

同社は2015年、日本初のLNG燃料船となる日本郵船のLNG燃料タグボート「魁」へのTruck to Ship方式(陸側に駐車したLNGタンクローリーから港に着岸しているLNG燃料船へ直接供給する方式)のLNGバンカリングシステムと機器を開発。その後もバンカリング用途に対応した国内で唯一のLNGタンクローリーメーカーとして開発を担ってきた。

今年1月には商船三井のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない/むらさき」(大阪~別府航路)向けのLNGタンクローリー(最大積載容量13.7t)を開発、納入。さらに、昨今のLNG燃料船の大型化や長距離航路のニーズが高まり、より効率的な燃料供給を実現するために、積載量をアップしたLNGタンクローリーの開発に着手していた。

内槽タンクの素材強度を高めることで高圧化(0.9MPa)し、LNGバンカリング用として国内最大の15.2t積載LNGタンクローリーの開発に成功した。

同社は今後もLNG燃料船の導入拡大に合わせ、LNGタンクローリーの開発や販売拡大を進めていくと説明している。

また、これまでは輸送時に積載したタンク全量分のLNG燃料を顧客の工場へ輸送するのが一般的だったが、今後のさらなるLNGの普及に対応するには、LNGタンクローリー1台で複数の工場へ配送する必要があると判断。複数拠点への配送を可能にしたポンプ付きLNGタンクローリー(積載容量6.5t)の開発にこぎ着けた。

LNGを卸す際のタンクローリー内の気化ロスを極力低減するとともに、荷卸し時間を短縮することができるため、業務効率化に寄与すると見込む。試験運用期間を終えたため、8月に本格販売を開始することにした。

LNGを運ぶ際の輸送効率を高めるためには、より積載量を多くしたタンクが必要。そのため、従来の14.0t積載のタンクローリーを同じ車体枠で14.2t積載できる設計に変更した。2024年夏の発売を予定している。


LNGタンクローリー(14.2t)※写真は14.0t積載タイプ

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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