オーストラリア向け航路で実施、脱炭素化への貢献目指す
日本郵船と神戸製鋼所は8月21日、神戸港で7月28日、ばら積み船にShip-to-Ship方式(岸壁・桟橋に係留中の船舶、もしくは錨泊中の船舶に燃料供給船が横付けして燃料を供給する方法)でバイオディーゼル燃料を供給したと発表した。
日本郵船グループの旭海運も参加し、3社で実施した。
旭海運が運航・管理をし、日本郵船と共同保有する神戸製鋼所向けの貨物輸送船「SUNRISE SERENITY」(サンライズ・セレニティ)が、豊田通商マリンフューエルの協力を得て、バイオ燃料の供給を受け、オーストラリアのニューキャッスル港までの航路で使用した。
今回の試験航行は「2050年までのネット・ゼロエミッション達成」を外航海運事業における温室効果ガス排出量削減の長期目標に掲げる日本郵船と、サプライチェーンにおける海上輸送での脱炭素化を目指す旭海運、低炭素・循環型社会への取り組みを統合的に進めていくことで持続可能な社会を目指す神戸製鋼所の思惑が一致して実施した。関西・瀬戸内エリアにおけるバイオ燃料サプライチェーンの普及を後押ししたい考え。
バイオ燃料は、生物由来の有機性資源(バイオマス)を原料にしており、燃焼時のCO2排出量は実質ゼロとみなされる。船舶から排出されるCO2削減の要請が高まる中、バイオ燃料は現在一般的な重油用の舶用エンジンでも使用可能なものとして注目されている。
今後、試験航行で得られた知見を日本郵船、旭海運、神戸製鋼所の3社で共有し、脱炭素化に向けた取り組みを加速させる。
位置関係図(©OpenStreetMap)
バイオ燃料の補給の様子
「SUNRISE SERENITY」概要
全長 : 224.94メートル
全幅 : 32.26メートル
総トン数 : 39,760トン
載貨重量トン数 : 76,544トン
建造年 : 2010年
造船所 : 新笠戸ドック
(藤原秀行)※いずれも3社提供