ライオンやサンスター、エステー、ユニ・チャームなど参加
ライオンとサンスターグループ、エステー、ユニ・チャームなどの大手日用品メーカーは8月29日、プラネットが提供している日用品メーカーと卸売事業者間のEDI(電子受発注)システム「ロジスティクスEDI」を活用し、卸売業に対してASN(事前出荷通知)データの配信を開始したと発表した。各社は順次、配信先の拡大を進める計画。
ASNは発荷主から着荷主へ出荷元コードや届け先コード、発注番号、商品コード、納品数量などを提供する。
各社はASNを卸売業に配信することで、納品時の検品作業簡素化や紙伝票の電子化を促進。荷受け作業の時間短縮につながり、物流の労働生産性向上と物流資源の効率化が実現できると見込む。
また、ASNをはじめとする個々の物流取引情報をデジタルデータ化することで、サプライチェーン全体の輸配送や在庫の最適化を推進することが可能とみている。ASNを有効活用し、荷受け作業の時間短縮でトラックドライバーの長時間労働規制強化による物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」にも対応していきたい考え。
各社はプラネットがEDI参加メーカーと開催する「ロジスティクスEDI推進会議」、公益財団法人流通経済研究所が主催する「サプライチェーン物流生産性研究会」を通じ、ASNデータの仕様や送信方法、納品伝票レス運用に関する標準業務モデルの検討を進めるのと並行し、全国化粧品日用品卸連合会を通じて卸売業とも実用化へ向けた連携を協議してきた。準備が整ったため、ASNの配信開始に踏み切った。
検品レス(簡素化)の業務モデル(いずれもライオンなど提供)
■ASN導入で想定しているメリット
1.伝票電子化によるペーパーレス化
①メーカーより納品伝票情報をASNのデータで卸売業に配信
②入荷商品の受領後、卸売業より入荷検収データをロジスティクスEDI経由でメーカーに配信
③メーカー・卸売業とも紙伝票の印刷、保管、入力作業が省略され業務効率化
2.メーカー・卸売業間における納品時の検品レス化
①ASNをロジスティクスEDI経由で配信
②卸売業は事前に入手した納品明細情報に基づき入庫・格納作業を実施
③卸売業では入荷商品の検品作業を簡素化(省略)し、納品車両のスループットタイム(拠点への入構から退出までに要した時間)を短縮
(藤原秀行)