【現地取材・動画】YKK APが埼玉・加須に新設の物流拠点公開、「2024年問題」対応で長距離トラック輸送解消図る

【現地取材・動画】YKK APが埼玉・加須に新設の物流拠点公開、「2024年問題」対応で長距離トラック輸送解消図る

適正在庫進め住宅用商品の供給体制強化狙い

YKK APは9月28日、埼玉県加須市で新たに開設した物流拠点「首都圏DC」をメディアに公開した。

ESRが開発した物流施設「ESR加須ディストリビューションセンター2」の1~2階部分約2万6200㎡を使用。10月2日に稼働を始める。設備投資は2億円。

適正在庫を維持し、ニーズに応じて迅速に出荷できる物流拠点を構えることで、首都圏エリアで窓やドア、エクステリア(外構)など住宅用商品の供給体制を強化するとともに、業務を効率化し、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」に対応するのが狙い。出荷効率向上へ同社で初めて、商品を収めた棚を持ち上げて作業エリアに搬送するGTP型ロボットを物流拠点に導入している。


(左)GTPエリアの棚搬送型ロボット(右)「首都圏DC」が入る「ESR加須ディストリビューションセンター2」外観(YKK AP提供)


1階の保管エリア。長距離輸送で届いた商品を100方面別に保管する


1階の長尺品保管エリア


2階の保管エリア。奥がラックスペース、手前がパレットスペース

同社は従来、1都7県の首都圏エリアへの商品供給は、全国各地の製造拠点や通過型の物流拠点「首都圏TC」から商品を輸送していたため、どうしても長距離の輸送になる傾向があった。今後は在庫を保管し、受注に応じて出荷する保管型物流拠点として首都圏DCを運営することで各地の製造拠点からの長距離輸送を減らし、2024年問題を確実に乗り切る狙いがある。

併せて、アイテム別や納期別など、細分化した需要予測に基づき適正在庫を管理する手法を展開。リードタイム別に適切な輸送方法を選択し、輸送距離700km以上は輸送方法をトラックから鉄道や船舶に転換するモーダルシフトを進める。

首都圏DC内で9月28日に記者会見したYKK APの岩﨑稔執行役員ロジスティクス部長は「現在、1日200台ほど運行している輸送トラックのうち3割程度が、いわゆる長距離ドライバーに該当している。モーダルシフトなどを駆使してゼロにすることが目標。船舶へのモーダルシフトは首都圏DCで成果が出たら本格化したい」と語った。


会見する岩﨑氏

同社は首都圏DC開設で各物流拠点の在庫バランス適正化を図り、モーダルシフトで2025年度のCO2排出量30%削減(22年度実績比)を目指す。

出荷作業に関し、これまでは倉庫スタッフが保管棚を周回してピッキングした商品をまず県別の10方面別に仕分けた上で、さらにトラック別に積み込む商品を仕分け、出荷検品してトラックに積み込む2段階の作業だった。GTP型ロボットを採用することで、一度に100方面別に仕分けられるようになり、作業時間を従来の半分程度まで抑えられると期待している。スタッフが庫内を歩き回る必要がなくなるため、作業負荷が大きく減るとみている。


1階バース(YKK AP提供)


(左)GTPエリア全景(右)仕分け作業の様子(YKK AP提供)


4t車へのパレット積みのデモ


トラックヤードは高床式

(石原達也、藤原秀行)

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