温度管理可能なコンテナ使用、現行比6割削減見込む
武田薬品工業と三菱倉庫、JR貨物は9月28日、CO2排出削減に向け、武田の国内特約店向け医療用医薬品輸送の一部をトラックから鉄道輸送へ切り替えるモーダルシフトを実施すると発表した。
国内の医療用医薬品輸送は現在、トラック輸送が主流で、武田も三菱倉庫に委託し、主にトラックを利用した輸送を展開してきた。鉄道輸送は様々な輸送機関の中でCO2排出量が少なく、環境への負荷が少ない輸送手段と評価されているものの、医療用医薬品の輸送に関しては振動や温度管理といった課題が多く、切り替えが進んでいなかった。
3社は検証した結果、温度管理可能な鉄道コンテナを用い、各種セキュリティ対策などを施すことで、医療用医薬品の品質を適正に管理しながら、医薬品の適正流通(GDP、 Good Distribution Practice)ガイドラインに準拠した輸送が実現できると判断。一部の国内特約店向けの輸送を10月から鉄道へ切り替えることにした。
具体的には、東京から北東北地区への幹線輸送部分を鉄道へ切り替え、その前後の輸送のみをトラックで運ぶことで、当該輸送時のCO2排出量を現状から約60%減らせると見積もっている。
加えて、長距離トラック輸送の軽減により、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」にも対応できると想定している。
3社は今後、順次鉄道輸送のエリアや対象特約店を拡大していく予定。本輸送についても、2022年1月に運用を始めたデータプラットフォーム「ML Chain」を利用し、温度情報・位置情報を可視化し、鉄道コンテナ輸送において国内でいち早くエンドツーエンドにおけるシームレスな医薬品輸送品質管理を実現したい考え。
(藤原秀行)