テラドローン、ドローン活用した浮体式石油・ガス生産設備の船体板厚計測で米国船級協会から世界初の承認取得

テラドローン、ドローン活用した浮体式石油・ガス生産設備の船体板厚計測で米国船級協会から世界初の承認取得

作業の安全性向上、同一地点で結果のトレーサビリティも可能

Terra Drone(テラドローン)は12月19日、三井海洋開発がブラジルでオペレーションしているFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)で、ドローンによる原油貯蔵タンク内の船体板厚計測を完了したと発表した。

計測方法は世界的な船級協会のABS(米国船級協会)の承認を取得済み。テラドローンによると、ドローンを使ったFPSOの板厚計測方法に対する承認取得は世界で初めてという。


ドローン計測のイメージ

FPSOの原油貯蔵タンク内の検査は、暗くて閉鎖的な空間での高所(約30m)における作業が必要のため、労働安全環境上の懸念事項となっている。

同時に、従来の検査では作業員がおおよその板厚計測地点を紙に記録していたため、定期検査で同一地点を毎回計測することが難しく、計測地点のトレーサビリティ(追跡)にも課題を抱えていた。

今回実施したテラドローンのTerra UT Drone(超音波探傷検査機器を搭載したドローン)を使った検査は、作業員は高所に上る必要がなく、タンク内の安全区域からドローンが行う作業を監視するだけで済み、より安全に検査を実施できるのが特徴。

板厚計測結果と並行して、ドローンが撮影した検査映像や3次元点群データ(3次元座標を持った点データの集合)の取得が可能になったため、計測地点のトレーサビリティも改善しているという。


タンク上部の3次元点群データ(いずれもテラドローン提供)

三井海洋開発はドローンによるトレーサビリティの高い計測データを活用して、高精度のデジタルツインモデル(コンピューター上での詳細な再現)を構築することなども視野に入れている。

両社は既に2例目の検査もリオデジャネイロ沖の沖合約300Kmで操業するFPSOで完了。今後もFPSOでの定期検査に今回承認を得た方法を適用して実績を積み、技術の発展を図る。

検査作業における安全性の向上・省人化・効率化を実現し、環境、経済、社会的な観点からサステナブルなFPSOをはじめとする海洋プラットフォームの操業を後押ししていく構えだ。

(藤原秀行)

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