【東商リサーチ情報】「空飛ぶバイク」やドローン開発のA.L.I.Technologiesが自己破産申請

【東商リサーチ情報】「空飛ぶバイク」やドローン開発のA.L.I.Technologiesが自己破産申請

負債11億円超、米国上場で計画通り資金調達できず経営悪化

東京商工リサーチが1月15日明らかにしたところによると、地面から浮上して走ることが可能な「空飛ぶバイク」(ホバーバイク)やドローンなどの開発を手掛けてきたスタートアップのA.L.I.Technologies(テクノロジーズ、東京都港区芝公園)が2023年12月27日、東京地方裁判所に自己破産を申請、今年1月10日付で破産手続き開始の決定を受けた。負債総額は22年12月期決算時点で11億6751万円。

東京商工リサーチなどによれば、A.L.I.は2016年、東京大学航空宇宙専攻の学生らが創業。世界初となる実用型ホバーバイク「XTURISMO Limited Edition」を開発、22年12月に第一号機を納品した。ドローン物流の実用化にも意欲を見せていた。

 
 

しかし、開発費用がかさみ、20年12月期は13億6595万円の赤字を計上。21年12月期は16億3192万円、2022年12月期は19億4382万円と赤字額は年々拡大しており、新型コロナウイルス関連融資など金融機関からの資金調達やベンチャーキャピタル、ファンドからの増資でしのいでいた。

23年2月には米ナスダック市場に上場していたSPAC(特別買収目的会社)と合併し、同市場に上場したものの、成長性に疑問を持つ投資家が資金拠出を回避し、当初計画通りの資金調達ができなかったことで資金繰りが悪化した。

23年7月には代表取締役が退任し、その他の取締役2人も解任され、その後は従業員の大半が退職。実質的な事業停止状態に陥り、ホームページも内容が更新されず、ドローン業界の関係者らからは「破綻は時間の問題」との声も漏れていた。

最近では、エアモビリティの開発などで山梨県北杜市と連携協定を締結したが、A.L.I.の経営が暗礁に乗り上げ連絡が取れなくなり、23年6月に市が協定を解除したほか、同じく山梨県の身延町ではA.L.I.が空飛ぶバイクの飛行試験などのために借りていた施設の賃料や使用料を滞納し、町側が支払いを求めて提訴する方針を固めたことが明らかになっていた。


A.L.I.が山梨県で2021年10月に公開した「XTURISMO Limited Edition」(同社提供)

(藤原秀行)

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