柔軟な規模の拡張・縮小可能、導入ハードル低減
ラピュタロボティクスは1月24日、東京都内の同社施設内で、昨年8月に発売した自動倉庫「ラピュタASRS」をメディアに公開した。
自動倉庫は三井化学の協力を得て、ガラス入り樹脂などで強度を高めたパーツを組み合わせ、保管スペースを構築する仕組みを実現。一般的な自動倉庫と異なり、大規模な施工は不要でねじや専用の工具を使わず人力で組み立てられる構造を採用、倉庫の形状や商品の取扱量増減に伴って柔軟に規模を拡張・縮小できるようにしている。地震の際にはパーツがしなり、免震になるという。
また、機能は全て100Vの電圧で運用可能にしているため、キュービクル(高圧受電設備)を設置せずに済み、導入のコストや手間を抑えられるのもメリットとなっている。
自動倉庫「ラピュタASRS」
工具は使わず、軽くて強いパーツを組み立てられる
ユーザーは商品を4つの足を備えた専用の格納容器「ビン」に入れ、自動倉庫の中に保管。出荷指示を受けると、厚みが約8cmの薄型ロボットが目的の商品を納めているビンの下に潜り込んで持ち上げ、ピッキングエリアまで運ぶ。異なる階層の間はエレベーターロボットが上下方向に運搬する。
ラピュタが独自に開発したアルゴリズムで、ロボットは300台以上を同時に制御できるという。
ピッキングエリアでは、取り上げる商品が入ったビンの位置と個数、商品を納めるコンテナを3D表示のモニターで分かりやすく指示。当該のビンやコンテナは上からライトで色付きの明かりを当てて際立たせて、どのビンから商品をピックアップするのか視覚的にサポートしており、経験の浅い人でも問題なく作業をこなせるよう配慮している。
在庫の商品を納めるビン
さまざまな形で商品を格納できる
ビンを持ち上げて運搬するロボット。自在に動ける独自の構造を採用している
ビンの下に潜り込んでいるロボット
既に日本出版販売が埼玉県新座市202年秋に開設する予定の新倉庫に採用する方針を決めているほか、プラモデルやフィギュアの輸出を手掛けるホビーリンク・ジャパンも倉庫に導入する計画だ。
自動倉庫公開に合わせて現地で会見したラピュタのモーハナラージャー・ガジャン(ガジャンCEO(最高経営責任者)は「今までになかった国産の自動倉庫。ピッキングエリアでも作業スタッフはビンを待たず、作業を継続できる」と強調。自動倉庫で2024年中をめどに受注額100億円を目指す方針を示した。
ピッキングエリア。色の着いた光でピッキング対象のビンを示すなど、作業ミスを回避できる工夫を取り入れている
分かりやすくモニターでピッキングを指示
(藤原秀行)