毎月2000枚の帳票削減に成功
工場や店舗などの現場作業効率化とペーパーレス化をノーコードで実現できるソフトウエア「カミナシ」を展開しているスタートアップのカミナシは2月2日、軽井沢プリンスホテルと軽井沢浅間プリンスホテル、軽井沢72ゴルフ(長野県軽井沢町)が「カミナシ」を導入したと発表した。
管理に用いていた紙帳票の削減で従業員の負荷解消が進められており、今後は宿泊部門のフロント業務やハウスキーピング業務にもカミナシ活用を検討、複数のホテル・施設部門との連携を加速させ、軽井沢プリンスホテルエリア全体のサービスレベルを向上させていく予定。
(カミナシ提供)
各施設では従来、衛生領域の管理は紙の帳票で行ってきたが処理や保管に多大な手間を費やしていた。ホテル、ゴルフ場に数カ所レストランを有しており、施設によって業務が複雑かつ多岐にわたるため、従業員への衛生管理に関する教育や研修に多大な労力を使っていた。
こうした状況を考慮し、2021年6月に対応が完全義務化となった食品衛生管理の国際基準「HACCP」に基づいて衛生管理体制を構築することや、紙帳票削減による環境負荷抑制を図ることを目指し、「カミナシ」採用に踏み切った。
ホテル、ゴルフ場のレストランなど料飲に関連する40のセクションで食品の管理や従業員の健康チェック、冷蔵庫の温度管理、厨房の温湿度管理など、10種以上の管理業務をカミナシに移行。この結果、毎月約2000枚あった紙の帳票を削減できたほか、紙の帳票の印刷や配布も不要となり、衛生管理担当者が行っている業務のうち月8時間分の業務時間が効率化できたという。
また、これまでは監査のたびに担当者2人が紙の帳票を倉庫から回収し、帳票が正しく記入されているか、逸脱があった場合は是正がされているかのチェックを丸1日要して行っていた。
カミナシ採用後、記入不備や逸脱情報はその場でアラートが発信され、業務中に是正完了まで記録できるようになった。監査時はカミナシのシステム上に保管された過去のデータを参照・提示することで完了できるため、現場で監査に対応する担当者の業務負荷の軽減につながっているという。
他にも、衛生管理の逸脱時の対処や、各施設における管理基準、緊急時の対応など、多くの施設を有するがゆえに従業員が覚えておくべき事柄が膨大で、従業員や衛生管理者にとって重荷になっていた。具体的には、業務マニュアルが必要な場合、多くの紙のマニュアルから該当する内容を探したり、マニュアル自体を適切に管理したりすることが負荷だった。
カミナシ導入後は、カミナシのシステム上にマニュアルを設置することで、分からないことがあれば手元のタブレットですぐに検索ができるため、新しい従業員への教育に必要な工数を減らせているという。
(藤原秀行)