小川代表「第二の柱と期待」
物流などの単発アルバイトのマッチングアプリ手掛けるタイミーは2月22日、東京都内で今後の事業戦略に関する発表会を開催した。
小川嶺代表取締役は新たに注力する領域として、アルバイトとして働く人の正社員転身やキャリアアップを後押しするサービス「タイミーキャリアプラス」を開始したと説明。既に物流業界でも日本通運が導入を決めたことを明らかにした。
人手不足がさまざまな業界で深刻化しているのに対応。働く人が良い仕事を得られるようにするとともに、企業にとっても適格な人材を採用できるよう労使双方をサポートする。
小川氏は発表会で、同社の独自調査の結果、「良い職場と出会えたら長期で働きたい」と答えた働き手が7割、「スポットワーカーの人たちに長期で働いてほしい」と答えた事業者が9割に上ったことに言及。「一定以上の長期雇用への需要はあると感じている」と新サービス開始の背景を解説した。
さらに、「マーケットの大きさで言えば(マッチングアプリで紹介する)スキマバイトより転職市場の方が大きい。(新サービスが経営の)第二の柱となるのではないかと期待している」と意欲を見せた。
タイミーキャリアプラスを発表する小川氏
新サービスは、昨年10月にタイミーが始めた、働く人が特定の業務に対して企業から良い動きをしたと評価された場合にスマートフォンのマッチングアプリ上で「バッジ」を獲得できる仕組みを活用。
バッジの内容を基にそれぞれの働く人の経験や能力をマッチングアプリで蓄積し、適当な正社員の求人を案内する。
タイミーは同サービスを通じ、働く人の正社員採用が決まった場合、1人当たり「理論年収」(その会社に1年間在籍したと仮定した場合の得られる年収額の目安)の3割を企業から成功報酬として受け取る。
併せて、働き手に対して資格や免許の取得のための講座を提供したり、仕事の悩みや今後進みたい方向などキャリアに関する相談に乗ったりする。
発表会では、新サービスを使って正社員に転じた第1号として、日通に転職した男性の事例を紹介した。タイミーは新サービスに関し、人手不足感が特に強い物流やホテルなどの業界で利用を働き掛けていく構えだ。
小川氏はまた、発表会前日に公表した物流大手4社からの出資受け入れに関し「物流業界ではロボティクスや自動化が進んでいるとはいえ、まだ人的な作業も多い。われわれだけでは物流業界の課題が見えないこともある。物流企業様と定期的にディスカッションすることで課題を見つけて、物流業界に貢献できるよう(サービスを)ブラッシュアップしていきたい」と狙いを説明した。
(安藤照乃、藤原秀行)