1年かけ天候への耐久性など検証、再生可能エネルギー由来電力の利用拡大図る
積水化学工業とセンコーグループホールディングス(GHD)、センコーは3月27日、太陽光発電の設置余地が大きい倉庫や工場の壁をターゲットとした設置方法を確立するための共同実証実験を、センコー茨城支店 茨城PDセンター(茨城県古河市)で3月22日に開始したと発表した。
フィルム型ペロブスカイト太陽電池は軽量で柔軟に曲げられるため、従来のシリコン系太陽電池では設置が難しかったビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、曲面にも取り付けられると期待されている。
積水化学は独自の「封止、成膜、材料、プロセス技術」で業界に先駆けて屋外耐久性10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築。さらに、同製造プロセスによる発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功した。
現在は実用化に向け、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率の向上を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金も活用して開発を加速させている。
物流領域の脱炭素化を推し進めるセンコーグループと連携し、再生可能エネルギー由来の電力活用を広げていきたい考え。
今回の実証実験では、新しい簡易設置法により、16枚(16㎡)のペロブスカイト太陽電池設置を、施工準備から配線収納まで6時間で終えられたという。発電能力の検証に加え、風や厳しい気候にどれほど耐えられるかなどの点を3社共同で1年かけて検証する。
1m×1mのフィルム型ペロブスカイト太陽電池を16枚設置(積水化学工業提供)
(藤原秀行)