米スタートアップのマーブルと連携、まずビル内配達などへの活用目指す
三菱地所は5月16日、東京・丸の内のオフィス街で、米スタートアップ企業のマーブルが開発した運搬ロボット「Marble(マーブル)」をオフィスビル敷地内で自動走行させる実証実験をメディアに公開した。
マーブルは事前に登録した経路に沿って移動し、レーザーセンサーやカメラが人間などの障害物を察知するとすぐに停止、衝突を回避する。自動ドアの前では減速し、ドアの開閉に合わせて通過できるようにするなど、屋内と屋外をスムーズに行き来できるのが特徴だ。荷物は重さ90キログラムまで積載可能。
この日の実験は、三菱地所が開発した高層ビルの敷地内を走行。ビル内のオフィスに勤める人がスマートフォンからコーヒーを注文したと想定し、配達のデモンストレーションも実施した。
三菱地所は警備や清掃など多様なロボットを活用し、街の魅力を高める「スマートシティ」を構想している。マーブルは高層ビル内での郵便物運搬などへの投入を想定。さらに将来、ロボットの公道走行に関する規制緩和が進めば、公道を経由して複数の建物間を自律走行し、無人でのエリア物流実現に寄与することも視野に入れている。
運搬ロボット「マーブル」
実証実験に併せて記者会見した三菱地所DX推進部統括の渋谷一太郎氏は「商業施設の中の館内物流に使ったり、空港の中で荷物運搬に投入したりと利用範囲を広げていきたい」と述べた。
マーブルのケビン・ピーターソン共同創業者兼CEO(最高経営責任者)は、米サンフランシスコで行ったロボットによる配達の実証実験の成果を説明。「日本でも規制が緩和された段階で、ロボットによるオンデマンドデリバリーや小包の配送を行いたい」と意気込みを語った。
記者会見した渋谷氏とピーターソン氏
(藤原秀行)