「様々な事業上の選択肢を検討」
AZ-COM丸和ホールディングスがTOB(株式公開買い付け)を開始した相手のC&Fロジホールディングスに対し、SGホールディングスが買収などの対抗措置を提案していることが5月17日、明らかになった。
低温物流に強みを持つC&Fロジを傘下に収め、事業基盤を強化して「2024年問題」などの諸課題に対応していく狙いがある。
C&Fロジが同日、SGHDがC&Fの買収に乗り出すとの日本経済新聞電子版報道を受け、コメントを開示。この中で、先に発表していた、法的拘束力のある提案書を受領している4社の中にSGHDが含まれていることを認めた。
C&Fはコメントの中で「(TOBと他の提案の内容比較など)慎重に検討を行っている。現時点で決定した事実はない」と説明した。
SGHDも同日、「当社グループの成長戦略のために、本件を含め様々な事業上の選択肢を検討しているが、現時点で決定した事実はない」との談話を発表した。
AZ-COM丸和は5月2日、C&Fロジ経営陣から明確な同意を得ずにTOBを開始。期間は6月17日までで、1株当たりの買い付け価格を3000円に設定している。最終的にはC&Fロジを完全子会社化することを念頭に置いている。
一方、C&Fロジは複数の相手からTOBへの対抗措置の提案を受け取っており、慎重に検討する必要があると繰り返し表明。TOBへの賛否を依然示していない。AZ-COM丸和には対抗措置の発動をちらつかせている。
5月17日のC&Fロジ株価の終値は3800円で、AZ-COM丸和がTOBの方針を公表して以来、高騰が続いている。SGHDはホワイトナイト(第三の友好的買収者)としてC&Fロジに買収を提案したとみられ、現在のC&Fロジ株価に価値を上乗せしてTOBを実施することを検討しているもようだ。
SGHDがTOBに乗り出せば、AZ-COM丸和は買い付け価格の引き上げなど対応を迫られそうだ。
(藤原秀行)