EC事業者の6割が消費者庁の「送料無料」表記変更要請認識も、実施は少数派か

EC事業者の6割が消費者庁の「送料無料」表記変更要請認識も、実施は少数派か

Eストアーが2024年問題で調査

ECサイト構築支援などを手掛けるEストアー(東京都港区赤坂)は5月28日、EC事業者を対象とした「2024年問題」に関するアンケート調査結果を公表した。

調査は5月8~14日、同社の支援システム「Eストアーショップサーブ」を利用しているEC事業者向けに実施、672件の回答を得た。

2024年問題に関連し、消費者の送料や物流に関する意識の変容などを目的として、消費者庁がEC事業者らに対し、誰が送料を負担しているのかといった点が明確に分かる表記への変更を要請しているが、事業者の64%がその内容を認識しているものの、そのうち「送料無料」の表記変更を予定している(または実施済み)の事業者は36%にとどまった。

回答したEC事業者の中でどの程度が「送料無料」表示をしているかについては割合は不明。

変更を予定する理由は「送料は無料ではないから」「誰が送料を負担しているかを明確にしておきたい」などに加え、「送料も含め、原材料も高騰しているため」「宅急便値上げで、自社の負担が大きくなり粗利が取れないため」など、要請とは別に事業者にとって厳しい経営環境となってきていることも変更の理由として言及されていた。

また、「消費者庁の考えに賛同するから」「消費者にも認知してもらうため」「顧客にも送料がいくらか、知ってもらう必要があるため」など、今回の消費者庁の要請を消費者に理解を求める機会と捉えている向きも見られた。

2024年問題について、自社のEC事業に影響があると思うと回答したのは8割に上り、懸念が強いことが浮き彫りになった。

具体的な懸念事項としては、影響があると回答した事業者の95%が配送料の高騰を挙げた。配達日数が増えることでの売り上げに影響することも45%が懸念していた。

配達日数の増加は「生鮮品が遅れて到着することで鮮度が落ちる懸念」「賞味期限の短い商品はより一層売りづらくなる」など、生鮮品や賞味期限の短い商品を扱う事業者にとっては品質維持を心配する声が聞かれた。配送の品質やサービスの低下への懸念も出た。

影響があると回答した事業者に対応策を聞いたところ、顧客に対して送料の値上げする(検討中含む)が64%、送料無料(売主負担)となる購入金額の引き上げ(検討中含む)が43%に達した。運送会社を変更する(検討中含む)も20%に上った。

その他の回答としては、「置き配を提案、即日発送の案内廃止」「店舗スタッフが出前できる商品に力を入れる」「小さな商品は、コンパクト発送できるようにする」など、様々な対応を検討していることが浮かび上がった。

(藤原秀行)※いずれもEストアー提供

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