GPS使えない狭小空間も対応可能
独自開発した小型ドローンによる施設点検サービスなどを展開しているLiberaware(リベラウェア、千葉市)が7月29日、東京証券取引所グロース市場に上場した。
ドローン関連事業を軸に展開している企業の上場は、国内ではACSL、ブルーイノベーションに続いて3社目とみられる。
Liberawareは2016年、産業用ロボットシステムの開発などを手掛けるため設立。18年には三菱地所などと自律飛行ドローンを活用した、GPSを使えない狭小空間の地下トンネル内の点検を実施した。
「見えないリスクを可視化する」をビジョンに掲げ、ドローンやロボットを使ったインフラ設備やプラントなどの点検に注力。狭い空間でも安全に飛行、搭載したカメラで点検可能な独自の軽量ドローン「IBIS」を開発し、自社での活用に加え、販売やレンタルにも対応している。
「IBIS」の機体と、狭小な空間を飛行して点検する様子(いずれもLiberaware提供)
今年2~3月には、11年に事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所1号機格納容器内の調査を実施した。1月に起こった能登半島地震では被災地で倒壊した建物内部の状況をドローンで確認するなど、復旧支援活動に参加した。
ドローンなどで撮影したデータを画像処理し、デジタル空間に再現する「デジタルツイン事業」や、新たなソリューションを考案する「ソリューション開発事業」も展開している。
24年7月期の単独売上高は前期比14%増の8億1200万円、当期純損失は設備投資が先行し、4億6600万円の赤字(前期6億4100万円の赤字)を見込む。点検領域の人手不足をカバーし、海外展開も視野に入れながら事業拡大を図る。
(藤原秀行)