帝国データ調査、10月はラッシュも通年は前年比4割程度か
帝国データバンクは9月30日、今年10月以降の食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析結果を公表した。
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした10月の飲食料品値上げは2911品目で、4月を上回る年内最大の値上げラッシュが来ると指摘。特に10月は「酒類・飲料」が最多で1年ぶり1000品目を超えると予想している。
ただ、24年通年の値上げは1万3000品目以下となる見通しで、前年の4割程度で推移すると見積もっている。
10月の飲食料品値上げは、前年10月と同様に、ハム・ソーセージ製品など加工食品やPET飲料などで大規模な引き上げが発生し、4月(2897品目)を14品目・0.5%上回って年内最大の値上げラッシュになると想定している。
ただ、10月単月の値上げとしては缶ビールなどアルコール製品の多くで値上げが発生しなかったため、2022年(7864品目)の4割弱、23年(4758品目)の約6割にとどまり、10カ月連続で前年同月を下回った。また、1回当たりの平均値上げ率は10月単月で16%だった。
一方、24年通年の値上げ品目数(予定含む)は12月までの累計で1万2401品目となり、年間の平均値上げ率は17%に達した。コメ価格の高騰を要因としたパック米飯製品でまとまった値上げが予定され、11月は11カ月ぶりに前年同月を上回るものの、年末にかけて値上げは沈静化すると見込んでいる。
2024年の値上げ要因では、最も多いのが「原材料高」(92.7%)だった。年前半では割合が小さかったものの、チョコレートやコーヒーなど、猛暑や干ばつによる不作を理由に一部原料で価格上昇の影響が見られた。
このほか、「物流費」(68.6%)由来の値上げ割合が上昇傾向にあり、24年10月における「物流費」値上げは7割を占めた。「円安」由来の値上げは24年通年で28.4%、「人件費」由来の値上げは26.7%に達し、それぞれ前年を大幅に上回る水準で推移した。
食品分野別に2024年10月の値上げをみると、PET飲料を中心とした「酒類・飲料」が全食品分野で最も多い1362品目に上り、10月全体の46.8%を占めた。
酒類・飲料が全食品分野で最多となるのは7月以来、3カ月ぶりで、1000品目を超えるのは23年10月以来、1年ぶりとなる。
「加工食品」(673品目)はハム・ソーセージ製品の多くで一斉値上げとなった。「菓子」では10月値上げとなる237品目のうち半数超がチョコ関連製品で占められるなど、引き続きビーンショックの影響が及んでいると分析している。
足元ではコメ不足に伴う原料米の価格高騰を背景にパック米飯で一斉値上げといった動きもあるものの、11月以降は総じて落ち着いた推移が見込まれ、2024年通年の値上げは前年(3万2396品目)に比べて4割程度の水準となる1万3000品目以下での着地が想定される。
(藤原秀行)※いずれも帝国データバンク提供