CO2を年間21%削減見込む、「2024年問題」受け作業時間短縮も
SGホールディングス(HD)は11月18日、グループで冷凍・冷蔵事業を手掛けるC&Fロジホールディングス傘下の名糖運輸が、同社としては初めて、冷蔵・冷凍EV(電気自動車)トラックを導入、運用を開始したと発表した。
導入したEVトラック
11月11日に開催した納車式
C&Fロジは地球温暖化による気温上昇で企業価値にどのような影響が生じるかといった点を分析し、財務情報として開示するよう企業に求めている国際的な活動TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同。CO2排出量(Scope1・2)を2030年までに21年度比38%削減、50年までにカーボンニュートラル達成をそれぞれ目標に掲げている。今回の措置もその一環。
導入したのはいすゞ自動車製のBEV(バッテリー式電気自動車)「ELF-EV」1台。1日65km運行で、同格のディーゼルトラックに比べ、年間のCO2排出量を21%削減できると見込む。
配備する名糖運輸西東京物流センター(東京都青梅市)の契約電力が再生可能エネルギー由来ではないため全量削減とはならないものの、今後電力プランの見直しや、太陽光発電設備の導入などにより、さらなる削減効果を得ていくことを念頭に置いている。
BEVトラックのコンテナと冷凍装置には東プレの製品を採用。特に冷凍装置は同社の特許技術の庫内乾燥モードを搭載している。
冷蔵・冷凍トラックは荷物を出し入れするたびに湿った外気が流れ込み、庫内に結露が生じて、そのまま放置すれば荷物の段ボール箱が濡れ、品質を損なう可能性が出てくる。その回避のため、ドライバーは庫内を清掃し、数時間を要して乾燥させる必要があり、時間の制約が生じている。
東プレの乾燥モードは、除湿乾燥を最短約60分で済ませられるため、ドライバーの拘束時間軽減や、復路での常温輸送実施が可能になると見込んでいる。
今回導入したBEVトラックは主に小売業向けの配送業務で運用し、走行や充電など各種データを収集・分析することで、コールドチェーンにおけるBEVの実用可能性と、カーボンニュートラルに向けた効果測定を進めていく予定。
(藤原秀行)※いずれもSGHD提供