25~30年度の新たな経営計画で明示、「医療・ヘルスケア」市場で欧州開拓なども推進
三菱倉庫は2月28日、2025~30年度を対象とするグループの新たな経営計画を公表した。
既存の、2030年に目指す姿を盛り込んだ「MLC2030」ビジョンを刷新し、「トータルロジスティクスと街づくりを 世界で展開し、社会のいつもを支え、 非連続な成長を実現する」と明記。
物流と不動産の両事業で社会課題解決に貢献しながら成長していくとのシナリオを示している。成長戦略として「物流事業の飛躍」「不動産事業の進化」「海外事業の拡大」「先端技術の活用等による業務プロセスの改善と新ビジネス創出」「グループ経営基盤の強化」の5点を据えている。
財務目標は、事業利益(営業利益に持分法投資損益と資産回転型ビジネス損益を加算)が2024年度(25年3月期)見込みの225億円から27年度(28年3月期)は390億円、最終の30年度(31年3月期)は630億円までそれぞれ伸ばし、ROE(自己資本利益率)も24年度見込みの7.9%から27年度は9%、30年度は10%以上に拡大させていくことを打ち出している。
25~30年度の期間中、DXなどに総額5900億円を投じる方針を提示。物流のロボティクスやAIなどの導入は350億円、物流・不動産の成長投資として4750億円をそれぞれ計画している。
具体策として、物流事業を飛躍させるため、倉庫・国際輸送部門の統合や戦略的な外部連携により、顧客のサプライチェーン課題に対応する最適なソリューションを提案、グローバルにトータルロジスティクスサービスを提供することを盛り込んでいる。
また、重点分野を「医療・ヘルスケア」「食品・飲料」「自動車/機械・電機」」 「新素材」 「コンシューマー」に据え、医療・ヘルスケア領域の欧州市場開拓、食品・飲料領域のコールドチェーン事業強化や流通加工業務の取り扱い拡大などを推進する。重点分野の利益は24年度見込みの120億円から30年度の290億円まで拡大させたい考え。温室効果ガス削減のためのモーダルシフト促進にも取り組む。
不動産事業では、物流事業とのシナジーが見込める物流不動産ビジネスへ本格的に参入。国内外で物流施設の開発・取得に乗り出すことを明らかにしている。27年度をめどに300億円の不動産ファンドを立ち上げ、開発・取得案件の運用を図る。
物流・不動産の海外売上高は30年度に24年度見込み比で2倍以上まで高める。
(藤原秀行)