常石造船、国内初の水素燃料タグボートを進水

常石造船、国内初の水素燃料タグボートを進水

混焼エンジンの大出力化と船舶鋼材のグリーン化目指す

常石造船は4月2日、自社の常石工場(広島県福山市)で3月28日に、国内初となる水素燃料タグボートを進水したと発表した。

本船はタグボートに不可欠な高出力を実現できる水素混焼エンジン、大容量の高圧水素ガス貯蔵および供給システムを搭載し、船体の全鋼板にJFEスチールの温室効果ガス排出を削減したグリーン鋼材「JGreeX」を採用している。

 
 

グリーン鋼材と水素燃料を活用し、海運領域の脱炭素化を図る。


進水する水素燃料タグボート

常石グループは日本財団によるCO2排出ゼロの船舶開発を目指す「ゼロエミッション船プロジェクト」の一環として、本船の開発・建造に取り組んでいる。

タグボートには優れた操作性と高いエンジン出力が求められるため、本船には12気筒の水素混焼エンジンを2基(4400馬力級)搭載。水素とA重油を混焼することで、従来の化石燃料のみを使用するタグボートと比べて約60%のCO2排出削減を実現している。

約250kgの高圧水素ガスを貯蔵する設備を取り入れ、水素燃料を活用しながら従来燃料使用時と同等の運航性能を維持できるようにしている。

万が一、水素燃料システムに不具合が発生した場合にもA重油のみで航行できるため、船舶としての安全性も担保している。

 
 

■水素燃料タグボートの概要
全長×船幅×深さ:38.0m(LOA)×9.6m×4.2m
総トン数:300トン未満
主機:12気筒水素混焼エンジン2基(4,400馬力級)
使用燃料:水素およびA重油


水素燃料タグボート


曳船される水素燃料タグボート

(藤原秀行)※いずれも常石ホールディングス提供

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