103社、指摘受け1.6億円支払い
公正取引委員会は5月9日、トラクターやコンバインなど農業機械大手の井関農機に対し、業務発注先の企業に部品の製造に用いる金型などを無償で保管させていたのは下請法で禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」に該当するとして、再発防止を勧告した。
公取委によると、井関農機は遅くとも2023年5月から今年1月までの間、井関農機や製造子会社などが、発注先企業103社に対し、部品の発注を長期間行っていないにも関わらず、合計で1万9461個の金型などを無償で保管させていた。
勧告の対象となった金型の数はこれまでで最も多かったという。
公取委の指摘を受け、井関農機は23年5月~24年5月の間、66社に対して無償保管させていた金型などのうち3671個を回収するとともに、2848個を廃棄した。併せて、保管費用に相当する額として102社に約1億6200万円を支払った。
井関農機は5月9日、「本勧告を厳粛に受け止め、今後の取引において下請法に違反することのないよう金型等の適切な管理のためのチェック体制および従来の下請法教育を見直すなどグループ全体で社内体制を再整備し、法令順守の徹底および取引の適正化を図る」と謝罪する声明を発表した。
(藤原秀行)