出荷作業の生産性最大6割向上見込む
カジュアルファッション大手のアダストリアと物流子会社のアダストリアロジスティクスは8月1日、茨城県常総市の物流拠点「常総物流センター」で導入した大規模な自動化設備をメディアに公開した。
アダストリアは「ローリーズファーム」「グローバルワーク」「ニコアンド」など多様なブランドを展開。全国に1400超の店舗を展開しているほか、ECにも注力している。物流現場の人手不足深刻化や賃金上昇で人材確保難が見込まれるため、積極的に自動化・省力化を進め、作業スタッフが働きやすい環境も整備し、店舗やECの商品取り扱いに支障を来さないようにしたい考え。
「常総物流センター」はグッドマンジャパンが開発した「グッドマン常総」内の約1万坪(約2万5000㎡)を賃借し、アダストリアが運営している約800店舗向けの商品出荷を日々担っている。今回自動化したのは、約半分に相当する約5000坪の入出荷エリアが対象。
オークラ輸送機と連携し、中国のHIK ROBOT製CTU(コンテナ移載ロボット)50台と、商品を収めたケースの下に潜り込んでピッキングエリアまで自動で運ぶLMR(潜入式搬送ロボット)を50台導入した。
さらに、プラスオートメーションが展開している中国Libiao製の仕分けロボット「t-Sort」を120台採用した。
入荷した商品を作業スタッフが段ボールのケースから専用の折り畳みコンテナ(オリコン)に移すと、LMRがオリコンを持ち上げて高層ラックの元まで運び、CTUがラックに自動保管。出荷の際は、オーダーが入った商品を収めているオリコンをCTUが取り出し、再びLMRがピッキングエリアの作業スタッフの元まで運ぶ。
LMRがオリコンを持ち上げて高層ラックに運ぶ
高層ラックに大量のオリコンを格納
CTUが高層ラックにオリコンを出し入れする
作業スタッフがオリコンから注文のあった商品をt-Sortに乗せれば、店舗別に自動で仕分けて段ボールケースに収める。一連の作業を自動化しているため、作業スタッフは入出荷やピッキングのために庫内を歩き回る必要がなく、作業負荷を大幅に抑制できている。
t-Sortで店舗別仕分けを自動化
また、同じくオークラ輸送機と組み、段ボールケースの製函・封緘も自動化。t-Sortの仕分けエリアの上部にコンベアを通し、段ボールケースがトラックへの積み込み場所までスムーズに運ばれるようにしている。
ケースの製函・封緘も自動化している
アダストリアは今回の自動化で、1時間当たりの作業生産性(出荷できる商品数)を入荷は従来比で最大4割、出荷は6割高められると試算。作業の最大能力も入荷は6割、出荷は4割向上できると想定している。
(藤原秀行)