【現地取材・動画】NCAのANAグループ入り「グローバル市場で伍していける貨物航空会社に」

【現地取材・動画】NCAのANAグループ入り「グローバル市場で伍していける貨物航空会社に」

両社首脳が国際市場で存在感向上へ強い決意表明

ANAホールディングス(HD)は8月4日、日本郵船から日本貨物航空(NCA)を8月1日付で買収したのに伴い、成田空港整備地区のNCA格納庫内で歓迎式典を開催した。両社首脳が集まったNCAグループの従業員約200人を前にあいさつし、両社グループの航空貨物輸送ネットワークを組み合わせ、国際航空貨物輸送の市場でより存在感を高めていくことに強い決意を表明した。


NCAの航空機をバックに開催した歓迎式典

ANAHDの芝田浩二社長は「2社を合わせた国際貨物の取扱高は世界で14番目にランクされる。日本とアジア、欧米間をつなぐ輸送力が強化され、本邦最大のコンビネーションキャリアとして大きく進化する」と買収の意義を強調。

「今後はそれぞれの強みを活かしながら、シナジー効果を最大化し、さらなる企業価値向上につなげる取り組みが求められる」と語り、航空貨物輸送事業の拡大へ両社グループの連携を呼び掛けた。

さらに、「NCAが社是としている『誠意、創意、熱意』はまさに私たちが大切にしている価値観と重なる。ともにさらに磨きを掛けていこう」と訴えた。


ANAHD・芝田氏

NCAの本間啓之社長は「航空貨物事業はグローバル経済を支え、国際的な分業を通じて生産地と消費地をつなぎ、安全保障の役割を果たしながら世界経済の発展に寄与してきた。しかし、今、世界は新たな混迷に直面している。米国の第一主義により世界的な経済構造の見直しが求められている」と指摘。

「意識変革や事業モデルの再編、変革の時と捉え、ANAグループの一員としてANAやANA Cargoと共鳴しながら新たな貨物航空会社を築いていこう。変化の中でわれわれは国益に資する規模と、安全を支える堅実かつ機動力のある運航能力を有した、グローバル市場で伍していける貨物航空会社となることが求められている。地政学的に優位な日本を基盤とし、日本を代表する企業としての役割を果たしていこう」と述べた。


NCA・本間氏


握手する両首脳

ANAは2005年、保有していたNCA株約28%を全て日本郵船に譲渡した。その後、23年7月に買収の方針を開示したが、当初同年10月1日を想定していた買収時期は中国当局による審査の遅れが響き、計8回の延期を迫られた。最初の予定から2年近く遅れての買収実現となった。


集まったNCAの従業員ら

(藤原秀行)

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