【現地取材】NTTグループとMujinが資本・業務提携、工場・倉庫など向けロボットの性能向上と導入ハードル解消図る

【現地取材】NTTグループとMujinが資本・業務提携、工場・倉庫など向けロボットの性能向上と導入ハードル解消図る

通信技術と制御ソフトウェアを組み合わせ、「フィジカルAI」提供

工場・倉庫向けロボットの制御ソフトウェア開発などを手掛けるMujinは12月2日,NTT、NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)の両社と資本・業務提携したと発表した。

NTTグループが持つ先進的な情報通信技術とMujinのロボット制御技術を組み合わせ、ロボットや自動化機器がセンサー、カメラなどから得た情報をAIが解析・判断し、結果を踏まえて柔軟かつ複雑な動きを自律的に行えるようにする「フィジカルAI」を提供。ロボットの性能向上と導入のハードル解消を図り、工場や倉庫などの自動化・省人化をより強力に後押ししていくことを目指す。

Mujinのロボット制御技術は事前にロボットの動作を細かく教え込まなくても自律的にロボットが動作できるようになるのが強み。一方、NTTとNTTドコモビジネスは生成AIやクラウドサービスなどのサービスを提供しているのに加え、次世代の高速通信基盤「IOWN」(アイオン)の実用化に取り組んでいる。双方の技術を組み合わせれば、ロボットや自動化機器の価値をさらに高められると見込む。


提携のイメージ(3社提供)

Mujinは併せて、総額364億円の資金調達を実施したことも開示した。シリーズDラウンドとして、NTTグループ、カタール投資庁が共同でリード投資家を務め、三菱HCキャピタルリアルティ、Salesforce Venturesと合わせて第三者割当増資で総額209億円を調達。加えて、複数の銀行や金融系事業会社から総額155億円の融資も受けた。

MujinのシリーズDラウンドのファーストクローズでの資金調達総額は364億円に達し、累計資金調達額は596億円に上っている。

米Pegasus Tech Ventures(ペガサス・テック・ベンチャーズ)、アクセンチュアなど既存投資家からも追加出資の意向を得ているという。Mujinは調達した資金を、倉庫に配置している複数のロボットや自動化機器を包括的に制御し、パフォーマンスを高めるWES(倉庫実行システム)の開発などに充てる。

東京都内で同日、記者会見したNTTの爪長美菜子執行役員研究開発マーケティング本部アライアンス部門⾧は「未知の環境への対応といった柔軟性・自律性をさらに拡張していくことを通じて、農業や介護、インフラ保守などさまざまな産業に(ロボットを)展開していきたい」と述べた。

Mujinの滝野一征CEO(最高経営責任者)は大型の資金調達を達成したことについて「MujinOSをお客様だけでインテグレーション(統合)できるようプロダクト化を進めていく。自動化需要が旺盛な欧米を中心とした海外展開をさらに加速させたい」と説明した。


会見後の撮影に応じる(左から)NTT・爪長氏、Mujin・滝野氏と共同創業者のロセン・デアンコウ氏、NTTドコモビジネス・山下克典執行役員ビジネスソリューション本部ソリューションサービス部⾧

(藤原秀行)

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