国内石油元売り初、今後は内航船舶も
出光興産と兼松の両社は12月3日、川崎汽船などが運航する外航船舶向けに、使用済み食用油から生成したバイオディーゼル燃料「FAME(脂肪酸メチルエステル)」と重油を混ぜ合わせたバイオ混合燃料の供給を開始したと発表した。
兼松グループの兼松油槽の海上出荷設備を活用し、バイオ混合燃料を供給している。
2026年3月までに内航船舶向けも含めて供給量を合計5000tまで高め、海運業界の脱炭素を加速させたい考え。国内石油元売りが海運業界向けバイオ混合燃料の供給に携わるのは初めてという。

各社の主な役割(プレスリリースより引用)
バイオ混合燃料は従来の船舶燃料と比較してCO2排出量を約20%削減できる見込み。出光は北海道で内航船舶を対象とした運航試験を2023~24年に実施した。寒冷地の北海道では低温のため燃料が固まりやすいなどの課題があるが、バイオ混合燃料を使用しても従来の船舶燃料使用時と同様の設備・運転条件で安定した運航ができることを確認した。
次のステップとして、兼松油槽の小倉油槽所(福岡県北九州市)の海上出荷設備を使い、内航船舶と外航船舶の双方にバイオ混合燃料を供給していく計画。
両社はバイオ混合燃料の製造・供給に際し、サプライチェーン全体で持続可能な原材料を用いていることを証明する国際的な認証制度「ISCC認証」を取得済み。
今後はバイオ混合燃料の需要動向を踏まえ、供給量の増加にも対応可能な出光の海上出荷設備も活用した供給体制への移行を検討する。さらに、船舶燃料としてバイオ混合燃料に加え、CO2を原料として製造する燃料「e-メタノール」の国内供給体制構築も目指す。
(藤原秀行)


