エレベーターとロボットが連携、マンションの部屋まで荷物配送する実証実験開始

エレベーターとロボットが連携、マンションの部屋まで荷物配送する実証実験開始

三菱電機ビルソリューションズ、Preferred Roboticsなど、物流の人手不足など課題解消図る

三菱電機ビルソリューションズ、Preferred Robotics(プリファードロボティクス)、分譲マンションなどを手掛ける大英産業(福岡県北九州市)の3社は12月10日、居住者が生活するマンションで自律搬送ロボットがエレベーターと連携してロビーと各部屋間で荷物やカートの搬送などを行うシステムの実証実験を11月27日に開始したと発表した。

実用化に向け、2026年1月まで続ける予定。

三菱電機ビルソリューションズのIoTプラットフォーム「Ville-feuille」(ヴィルフィーユ)を使った「ロボット移動支援サービス」を駆使し、Preferred Roboticsの自律搬送ロボット「カチャカプロ」とエレベーターを連携させ、大英産業が運営・管理するマンション内で建物内移動の効率化・自動化が可能かどうかを検証している。

日常生活の主な利用場面は買い物、ごみ出し、宅配受け取り、重量物の搬入など、生活に直結したケースを見込んでいる。


左:各部屋への宅配物の搬送 / 中:エレベーターと連携し、ロボットが住人の買い物荷物を部屋まで自律搬送 / 右:各部屋からロビーへの荷物運搬(ゴミ出しや旅行バックなど)をサポート

3社が連携することで、エレベーターの制御技術、自律搬送ロボットの開発・製造、マンション管理のノウハウといった各社の豊富な知見を組み合わせて実用性の高いソリューションを開発し、高齢化社会、物流の人手不足などの課題解決に貢献したい考え。

Ville-feuilleはエレベーター、空調、照明、サービスロボット、入退室管理システムなどのさまざまなビル内設備の稼働データやセンシングデータなどを収集・蓄積し、データ処理を行うシステム。

各社役割

三菱電機ビルソリューションズ株式会社

・エレベーター制御技術の開発・提供

・「Ville-feuille」によるロボット連携機能の開発・提供

・エレベーターの自動呼び出し・運行制御システムの構築

・建物内自動化ソリューションの統合設計

株式会社Preferred Robotics

・自律搬送ロボット「カチャカプロ」の提供・運用

・ロボット制御技術およびナビゲーション技術の提供

・エレベーター連携機能に対応したロボットシステムの開発

・住人向け操作アプリケーションの開発

大英産業株式会社

・実証実験場所(管理マンション)の提供

・マンション管理業務における実証実験の運営・管理

・住人との調整およびフィードバック収集

・実際の住環境における検証データの提供

連携システムにより、「カチャカプロ」からの要求に応じたエレベーターの自動呼び出し、目的階への自律移動、「カチャカプロ」の動きに応じた扉開閉制御を実現。人とロボットが共生した上で円滑な自動搬送を行えると見込む。

実証では、住人が専用ブラウザアプリを利用して5つのサービスを検証する。アプリは住人のスマートフォン・タブレットの他、エントランス設置の専用タブレットからも操作できる。

具体的には、「①買い物荷物搬送サービス(マンションロビーから各部屋へ)」「②荷物搬出サービス(各部屋からマンションロビーへ)」「③カート返却サービス(各部屋からカート返却場所へ)」「④宅配受取サービス(宅配ボックスから各部屋へ)」「⑤利用者フィードバックおよびシステム改善サービス」。

併せて、「カチャカプロ」が荷物搬送やカート回収を行う際にエレベーター移動する場合、人との同乗を可能とする環境を構築し、居住者の受容性もチェックする。

実証場所・期間

実施場所

大英産業株式会社管理マンション(福岡県福岡市内のマンション1棟:総戸数50戸)

実施期間

2025年11月27日~2026年1月(予定)

検証項目

提供する5つのサービスの技術的性能、利用者満足度、運用効率性、安全性

参加居住者

50世帯

想定効果

先進的な自動搬送システムの導入により、マンション内の高齢者や子育て世帯といった居住者の生活利便性向上とともに物流のラストワンマイル課題や人手不足といった社会的課題の解決に貢献

(藤原秀行)※いずれも3社提供

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