帝国データが食品主要195社の動向調査、包装コスト上昇など影響
帝国データバンクは4月30日、今年5月以降の飲食料品の値上げ動向と展望・見通しに関する分析結果を公表した。
5月の飲食料品値上げはトータルで70品目に上り、分野別ではチョコレート菓子などの「菓子」が最も多く38品目に達した。
足元では、中東情勢の影響を受けて食品包装などで大幅な値上げが相次いでおり、帝国データバンクは「早ければ今夏以降、ナフサ(粗製ガソリン)不足を要因とした値上げラッシュが起きる可能性がある」とみている。
品目数と値上げは、各社発表に基づいて集計。年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントしている。値上げ率は発表時における最大値を採用している。価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含めている。
主要な食品メーカー195社の家庭用を中心とした2026年の値上げは、1~9月の累計で6290品目となった。年間の値上げ品目予定が1万品目を超えていた前年同時期(2025年4月調査時、1万4409品目)に比べ、今年4月調査時では予定を含め、前年比で6割減少した。
4月調査時における2026年の値上げを見ると、1回当たり平均値上げ率は15%と、前年通年(15%)と同程度の水準で推移。食品分野別では、マヨネーズ類やドレッシング類などの「調味料」(2053品目)が最も多く、冷凍食品やパックごはん、缶詰、即席めんなどの「加工食品」(1993品目)、焼酎・ワインなどの「酒類・飲料」(1074品目)が続いた。
「菓子」(593品目)は、前年に引き続きチョコレート菓子のほか、一部米菓製品でも値上げが見られた。5月以降の推移では、6月(906品目)・7月(952品目)ともに単月当たり1000品目を下回っているほか、8月以降でも前年水準を下回った。


値上げ要因では、特に原材料など物由来の値上げが多くを占めた。「原材料高」の影響を受けた値上げは99.6%で、集計を開始した2023年以降で最も高い水準を記録した。
「包装・資材」(69.9%)は前月の水準を超えたほか、4月調査時の水準としては前年(60.2%)も大幅に上回り、年間では23年以降で最高ペースに到達。帝国データバンクは以前から続いている資材高の影響を受けた値上げが中心だったものの、中東情勢の悪化に伴う包装資材費の高騰による値上げも出始めたと指摘している。
このほか、「物流費」(73.6%)、「エネルギー」(59.5%)、「人件費」(49.4%)でも、前月調査時から低下した。2026年内における「人件費」由来の値上げは、最も高い割合を占めた2月時点(66.2%)から低下傾向が続き、全体の半数を下回って年内としては最小だった。
帝国データバンクは「原材料や資材高によるコスト上昇を価格に転嫁する動きが続く一方、賃上げなど労務費由来の値上げが相対的に弱含みつつある」と推察している。
5月単月の飲食料品値上げは計70品目にとどまり、値上げ1回当たりの平均値上げ率は月平均13%前後にとどまった。単月の値上げ品目数が100品目を下回るのは、今年1月以来、4カ月ぶり。食品分野別では、チョコレート菓子など「菓子」が最も多い38品目だった。
一方、帝国データバンクが4月上旬に実施したアンケート調査(中東情勢による原油価格高騰・供給不安の影響、アンケート対象:約1700社)で、原油高がどれほど続けば主力事業縮小につながるか聞いたところ、回答のあった食品企業(飲食料品・飼料製造57社)では24.6%の企業で「3カ月未満(が限度)」と回答。
「3カ月以上~6カ月未満」(31.6%)と合わせると、半数超の企業が「持って半年」(10月まで)との認識を示していた。中小食品メーカーでは、「PP(ポリプロピレン)・PE(ポリエチレン)原料の包材メーカーからは猶予期間なしの大幅な値上げの要請が相次いでいる」との声もあり、大手メーカーでも業務用食品で生産停止を余儀なくされるなど生産活動への影響も出始めているという。
現状では、食品フィルムやラベルインクなど、素材・中間材での値上げが主となっているものの、飲食料品でも中東情勢の悪化を要因とした値上げが出始めていると指摘。ナフサ供給不足や大幅な価格水準の高止まりが続いた場合は、時間差を伴いながら包装資材コストが新たな負担要因として顕在化するため、今後の動向は極めて不透明感が強いと総括している。
仮にホルムズ海峡の事実上の封鎖が早期に解除されても、石化製品における物流混乱は長期にわたって影響を及ぼすとの見立ては多く、食用油をはじめとする世界的な食糧需給のひっ迫や、原油高に連動した原材料や輸送コスト増の影響、今夏以降に上昇が見込まれる電気・ガス(エネルギーコスト)など、各方面で複合的なコスト上昇圧力が予想されると強調。
こうした情勢を背景に、飲食料品では早ければ今夏中、遅くとも秋ごろにかけて広範囲な値上げラッシュ再燃の可能性が高いとの見方を示している。


(藤原秀行)※いずれも帝国データバンク提供











