JILSの23年度ロジスティクス大賞、加藤産業やMUJINなど4事例受賞

JILSの23年度ロジスティクス大賞、加藤産業やMUJINなど4事例受賞

南日本運輸倉庫、エレコムも

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は8月1日、ロジスティクス推進に向けて優れた実績を挙げた企業を表彰する「ロジスティクス大賞」に関し、2023年度の受賞者を発表した。

概要は以下の通り(プレスリリースより引用)。

【ロジスティクス大賞 社会性特別賞】
加藤産業

テーマ:検品レス+伝票レスの同時実現による製配双方の物流業務効率化取組み
受賞事由:物流領域は、2024年問題をはじめとした物流クライシスに直面している。人手不足も深刻な問題であり、ドライバーの需給については現時点で約15万人の不足状態にあり、2028年度には不足率は総需要の1/4相当になると懸念されている。喫緊の課題に対応するためにも物流業務の効率化・標準化を製配協働で推進していく必要がある。このような問題意識の下、本取り組みでは加藤産業、ヤマサ醤油、日本パレットレンタル(JPR)の3社の協働によって「検品レス」と「伝票レス」を同時実現している。検品レスにより検品作業時間の約60%が削減され、伝票レスにより各種事務作業の軽減、さらには納品車両台数の約20%が削減されるなど作業負荷軽減と効率化に関する成果が紹介されている。

3社協働による取り組み内容の規模や成果に加え、これらが広く活用されることにより、物流領域のみならず社会全体の持続可能な成長へつながることへの期待感などが高く評価された。

【ロジスティクス大賞 技術革新特別賞】
Mujin

テーマ:知能ロボットとAGV連携による多品種ケースハンドリングシステム
受賞事由:様々な状況に柔軟に対応するためには人手での対応が必要とされることも多い。さらに、少品種大量生産から変種変量生産への移行が加速し、頻繁に変更が発生するなど、自動化が難しくいまだに重労働を含めて人手に頼らざるを得ない領域が増加する中にあり、人員の確保は容易ではない。

このような背景の下、本取り組みでは物流をはじめ、生産現場など、様々な場面、状況に柔軟に対応可能な自動化を目指し、リアルタイムに周辺環境を把握し、最適な動作を生成する知能ロボットとAGV(無人搬送ロボット)を連携させ、一括で管理する「多品種ケースハンドリングシステム」の構築に成功するとともに、物流現場、生産現場それぞれへの適用事例と成果が紹介されている。

知能ロボットとAGVの組み合わせといった視点やそれらを一括管理するための技術、サポート体制など技術面の革新度、波及効果への期待が高く評価された。

【ロジスティクス大賞 技術革新奨励賞】
DENBA DISS、南日本運輸倉庫、DENBA JAPAN

テーマ:『温度管理から”鮮度管理”へ』鮮度保持テクノロジーがもたらす『次世代コールドチェーン』構築へ向けて
受賞事由:食品を中心としたコールドチェーンにおいては、天候不良などのリスク生起により、輸送計画変更を余儀なくされる食材、鮮度不良により廃棄される食材が多く存在する。食材の鮮度を長期間保持することができれば、長距離輸送による販路の拡大のみならず、業務量の平準化など関連する労務環境の改善も期待できる。

このような問題意識の下、本取り組みでは食品ロスの抑制、産地から消費者に至るまでの食品流通工程の改善、新たなコールドチェーンのインフラ構築を目的とし、鮮度保持テクノロジー「DENBA(デンバ)」を用いた食品鮮度管理手法とともに、5つの事例により、鮮度向上とリードタイム改善による食材廃棄の軽減と販路拡大、加工品の原体管理の長期保管化実現、さらには海外海上輸送や離島へ輸送、産地での集荷と仕向け先までの輸送における鮮度保持やトレーサビリティーの向上といった成果が紹介されている。

鮮度保持テクノロジーを実装した物流ユニットによる豊富な事例などの取り組み内容の規模や技術面での革新度がともに高く評価された。

【ロジスティクス大賞 業務改革奨励賞】
エレコム

テーマ:荷主とエンジニアリング会社の協業で実現した「歩かない」物流センターの構築 ~60%の省人化を実現したエレコム兵庫物流センター~
受賞事由:エレコムにおける物流センターは量販店の物流センターや店舗、法人オフィス、個人に納品を行う販売物流の機能を担っており、約15,000SKU(最小管理単位)が在庫として存在する多品種小ロットでの物流を行っている。昨今の労働力不足に加え、ECの拡大など貨物の小口化が進み、自然災害のリスクも拡大するなど、さまざまな観点から「物流ができなくなる」との危機感を強くしていた。このような問題意識の下、エレコムでは兵庫物流センターの立ち上げに際し、機械化、省人化を進めること、増加する小口出荷への対応力強化を目的とし、センター業務の現状分析と改善策の策定をエンジニアリング会社との協業で行っている。移転前のセンターとの比較で約60%の労働力での出荷を可能にしたほか、ピッキングと補充では歩行がゼロとなり、「歩かない」物流センターを実現している。

徹底した現状分析に基づく機械化、省人化の実現による作業者の業務内容・環境の改善に関する成果が高く評価された。

(藤原秀行)

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