全社員の全活動を集約し分析、経営への適切なアドバイス導き出すことを想定
セールスフォース・ジャパンは7月28日、東京都内の本社で、AIエージェントのプラットフォーム「Agentforce」(エージェントフォース)の活用状況に関するメディア・アナリスト向け説明会を開催した。
エージェントフォースを実際に使っている企業として、物流機器の製造・販売・施工を手掛けるジャロックの斉藤力丸社長が登壇。営業活動の自律支援のために駆使し、業務の効率化につなげられていると報告した。
斉藤社長によると、2025年10月にAgentforceを導入してから、受注率(商談した中で実際の受注に至った割合)が15ポイント向上し、報告書の作成時間を80%削減できたほか、商談化率(問い合わせがあった件数のうち商談に至った割合)も5%向上したという。
斉藤氏は、今後の方針として、Agentforceへの投資継続・拡大を検討していると説明。その狙いとして、セールスフォース・ジャパンと引き続き連携し、営業部門にとどまらず、全社員の全活動をコミュニケーションツールのSlackに集約し、あらゆる社内情報を俯瞰して分析、経営への適切なアドバイスを導き出す「AI COO」を実現したいとの考えを示した。
斉藤氏によれば、創業者から会社経営を引き継いだ後、長年にわたり「情報の属人化」という経営課題に直面。ベテランの営業担当者が退職するたびに、長年かけて培ったノウハウや顧客情報が会社から失われる状況が繰り返され、組織の継続的な成長を阻む要因になっていたという。
営業担当者の間で受注率に大きな差が生じており、成功パターンの共有や再現が困難な状況も続いていた。
2018年のSalesforceのAgentforce Sales(当時の名称はSales Cloud)導入により「情報を個人から会社の資産へ」という基盤整備を進め、情報共有の課題はある程度解消されたが、社内のやり取りを何度も繰り返す非効率や営業担当者ごとの成果格差の解消が新たなテーマとなり、蓄積したデータをさらに「活用」するという次の経営課題が浮上。そのため、Agentforceの採用に踏み切った。
2026年1月よりAgentforce関連機能の順次実装を開始し、7月現在は営業活動の自動記録・要約、商談スコアリングと成功事例のサポート、社内エージェントなどの領域で活用。営業活動は担当者の通話の記録、商談での会話をリアルタイムでAIが集約・要約し、商談・日報へ取り込むとともに、Googleカレンダーと連携し、営業担当者の記録負荷を大幅に軽減している。
また、AIが各商談活動をスコア化し、不足している点を自動検知。他の担当者の成功事例を参考に、次のアクションを自律的にサポートしている。さらに、Salesforce上に構築した社内エージェントが社内ナレッジに即座に回答し、担当者が社内確認に費やす時間を削減。公式ウェブサイト上に社外エージェントを展開し、顧客からの問い合わせにリアルタイムで対応している。
その結果、蓄積してきたCRM(顧客情報管理)データを「生きた知識」として使えるようになり、組織全体の営業力底上げにつなげられたと説明している。他にも、情報の属人化解消と社内コミュニケーションのスピードアップといった効果も生み出している。
斉藤社長自らが毎朝全社員の日報にコメントし続けるという経営トップのコミットメントもあり、AIを活用した日報・商談管理の習慣が全社に定着している。
(藤原秀行)







