元日の船内飲酒など問題視、再発防止策提出を要求
国土交通省関東運輸局は8月28日、東京と伊豆諸島間の定期船を運航している東海汽船に対し、乗組員が酒気帯びの状態で航海当直に当たるなど複数の法令違反があったとして、同日付で海上運送法に基づく輸送安全確保命令を出した。9月28日までに再発防止策を報告するよう要求している。
併せて、海上運送法に則り安全統括管理者と運行管理者の解任を命じるとともに、船員法に基づく是正命令も発出した。東海汽船では川崎真也執行役員運航本部長が安全統括管理者、船長の久保田正明氏が運航管理者をそれぞれ務めていた。
解任命令は2024年、JR九州子会社で福岡・博多と韓国を結ぶ高速船の船体に浸水があったことを隠していたJR九州高速船に出して以来、2例目。
関東運輸局などによれば、東海汽船は元日、「さるびあ丸」「橘丸」の2隻で旅客の輸送中に船長と乗組員が新年会を船内で開いて飲酒。さらに、飲酒した後に時間を置かず、アルコールチェックもしないまま航海当直についていた。船長ら複数の乗組員は社内で勤務を禁止している水準以上の酒気を帯びていたという。
また、同社の山崎潤一社長は元日に船長らが飲酒することを把握していながら、適切な措置を講じていなかった。関東運輸局は「全社的にアルコール検査体制が形骸化しており、アルコール検知器の使用方法ほか安全管理規程を実効的に機能させるための教育も実施していなかった」と指摘した。
今年4月には船員がアルコール検査をする際、替え玉を実施した。
他にも、出港の際、人や荷物の出入り口の舷門がきちんと閉じないまま運航することが常態化していたという。こうした事態から、関東運輸局は安全統括管理者と運航管理者がいずれも職務と権限を果たせていなかったと判断、解任を求めた。
東海汽船は昨年4月にも、旅客避難などの教育訓練をきちんと受けてない人を乗組員に就かせていたことなどが発覚し、同じく関東運輸局から海上運送法に基づく安全確保命令などを受けていた。
東海汽船は8月28日、「お客様をはじめ、東京諸島の皆様、関係者の皆様に、多大なるご心配とご迷惑をお掛けしておりますことを、改めて深くお詫び申し上げます。命令の内容に従い、安全統括管理者と運航管理者の解任を行うとともに、安全管理体制の抜本的な再構築、アルコール検査体制と発航前検査の適正化、安全教育の徹底など、必要な改善措置を速やかに講じてまいります」と謝罪するコメントを発表した。
同社は現在、外部の専門家で構成する特別調査委員会を設置し、事実関係の把握と原因の調査を進めている。調査結果と提言を受け、再発防止策を取りまとめる。
(藤原秀行)









