民間事業者単独の防御・事後対応のみでは資産略奪の根絶は困難と説明
GMOインターネットグループは10月24日、外国為替証拠金取引(FX)の自動取引のためのVPS(仮想専用サーバー)サービスが不正アクセスを受けたのに伴い、サイバー攻撃に先手を打って攻撃、被害発生・拡大を防ぐ「能動的サイバー防御」の適用を政府に緊急要請したと発表した。
政府は10月1日、能動的サイバー防御関連法を施行。能動的サイバー防御を可能にした。警察や自衛隊が攻撃元のサーバーに侵入し、攻撃するプログラムの停止など無害化の措置を講じることを可能にしている。対象は放置すると重大な危害が発生する恐れがあったり、外国の政府が関与する組織的・計画的な攻撃があったりした場合と設定している。
GMOは能動的サイバー防御の適用を求める理由について「単なる一民間サービスのシステム障害にとどまらず、暗号化や情報窃取にとどまらない『一般国民の取引口座(金融資産)を標的とした不正操作・資産毀損』という極めて悪質かつ前例のない手口が用いられております。民間事業者単独の防御・事後対応のみでは、国境を越えて暗躍する高度なサイバー犯罪集団による国民資産の略奪を根絶することは困難です」と説明している。同サービスに提供している2万6000件以上のサーバーで顧客の情報を不正に閲覧された可能性があるという。
ただ、能動的サイバー防御は攻撃の兆候をつかんで対応することで被害を未然に回避することを念頭に置いており、個々の民間企業からの要請を受けて発動することを想定していないため、実現のハードルは高い。また、政府は仮に能動的サイバー防御に踏み切ったとしても公表はしないとみられる。
GMOの説明によれば、10月19日に同サービス利用者からの問い合わせを受け、調査を開始、10月20日に不正なプログラムが設置されたのを見つけ、新規の利用受け付けとサーバーの運用を停止し、警察にも相談した。
GMOは不正アクセスに起因する不正取引で発生した損失を補償する意向を表明。それとは別に、同サービス利用者全員に「見舞金」を一律5000円払うことも発表した。同サービスからの乗り換えを希望する場合は代替のサービスを6カ月間無償で提供することも公表している。
併せて、不正アクセスを仕掛けた攻撃者が同社に金銭を要求し、応じない場合には同社は顧客の情報を公開するなどと連絡してきていることも明かした上で、「攻撃者からの要求には応じません」と強調している。
(藤原秀行)







