日本向けに初採用、飼育段階から健康状態ウオッチし安全性確保
UPSは11月11日、先端技術を駆使して農業を変革する「アグリテック」を追求している米ベンチャー企業のハードエックスと連携し、牛肉の生産・流通履歴を精緻に把握できる最新のトレーサービリティーシステムを確立したと発表した。このほど、日本向けの牛肉輸出に初めて採用し、実際の輸送に投入された。
牛肉の包装に貼付した温度センサーなどの情報を、ブロックチェーン(BC)技術で迅速に集約・共有。生産段階で抗生物質を投与したかどうかや、輸送の段階で温度管理が万全に成されたかといった点まで含めて、小売事業者やレストランなどが容易に確認できるのが特徴。UPSのコールドチェーン輸送とハードエックスの技術を組み合わせて安全性の高い貿易体制を整備する。
ハードエックスの技術を活用し、生産・輸送の過程だけでなく、飼育段階から牛の健康状態をウオッチすることで、健康な牛だけを出荷できるようサポート。包装に貼付したQRコードを読み取れば、写真や動画も含めた多様な情報をスマートフォンなどから閲覧可能。サプライチェーンの全体をカバーできるシステムとして設計している。
UPSとハードエックスは2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控えて今後も牛肉が着実に消費されると見込まれることもあり、新システムを最初に用いる国・地域として日本を選んだと説明。日本向けに安全・安心な牛肉を輸入できる実績を積み重ね、他の国にも利用を働き掛けていきたい考えだ。
スキャンすると提供される牛肉の詳細なトレサビリティ情報を確認できるQRコード付きメニュー(UPS提供)
(藤原秀行)