CBREが今後2年間対象の不動産市場リポート公開(後編)
シービーアールイー(CBRE)は1月21日、2021年までの国内不動産市場を展望した「不動産マーケットアウトルック2020」を公表した。大規模な先進的物流施設に関し、主要な借り手のECの成長が続くことなどから3大都市圏はいずれも好調な地合いが続くとの見解を示した。
後編は関西圏と中部圏の予想内容を紹介する。調査対象は延べ床面積が関西圏で1万坪以上、中部圏は5000坪以上のマルチテナント型案件。
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空室率が7%程度と想定
関西圏は20年の新規供給が16万坪、21年は28万坪で過去最高だった17年に匹敵する規模になると予想。20年は完成が見込まれる5棟のうちの1棟が賃貸面積10万坪を上回る超大型案件となることもあって、空室率が20年第1四半期(1~3月)を底に、緩やかに上昇するとの見方を示している。
同時に、「(内陸部など)新興地域の順調なテナント決定や湾岸部の需要回復に鑑みると向こう2年間の空室率はおよそ7%台に収まる」とみている。
実質賃料は空室率の緩やかな上昇傾向を反映し、21年第4四半期(10~12月)は19年第4四半期から1・1%のアップと比較的な小幅な伸びになると分析している。
関西圏の大規模物流施設の需給バランス(CBRE資料より引用)※クリックで拡大
開発プロジェクトはまだ2棟
中部圏は、21年までに予定されている開発プロジェクトは現時点で計2棟にとどまっており、いずれもこれまで大規模のマルチ型物流施設の開発実績が見られなかったエリア。供給が限定的なことなどから空室率は一時的に上昇する可能性はあっても10%を超えることはないとの予測を示している。21年末は4%程度にとどまる見込み。
併せて、新興立地で新規に完成する案件が平均の賃料を押し下げる半面、名古屋市中心部へのアクセスに強みを持つエリアは空きスペースが枯渇していることが押し上げにつながると指摘。21年第4四半期時点の実質賃料は19年第4四半期から1・4%の上昇と見込んでいる。
中部圏の大規模物流施設の需給バランス(CBRE資料より引用)※クリックで拡大
(藤原秀行)