多様なニーズを掘り起こし、人手不足対応もサポート
倉庫の提供者と利用者のマッチングサービスを展開しているスタートアップ企業のsouco(東京)は、サービスの利用促進を目指し、契約形態を「倉庫スペースのみの利用」と「荷役作業込みの利用」の両建てで設定、さまざまな倉庫利用のニーズを掘り起こせるよう努めている。このほど作成した新たなパンフレットなどでも両建てのシンプルな契約形態になっていることを全面に出すことにより、利便性の高さをアピールしている。
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同社のサービスは従来の倉庫では対応しきれなかった、数百坪程度の小規模なスペースを短期間借りる需要をカバーできるとして物流事業者や荷主企業の注目を集めている。昨今は物流現場の人手不足が深刻化し、改善の兆しが見えないため、主力だった倉庫スペースのみの提供だけでなく、荷役作業とセットになる利用形態もより積極的に利点をアピールし、倉庫を利用する顧客企業の人手不足対応をサポートしたいとの狙いもある。今年3月からはより迅速に「荷役作業込み」の利用開始にこぎ着けられるよう、契約の方式変更の準備を進めている。
「成約のたびに契約結び直し」を解消
スペースのみの利用は、区画単位や倉庫単位で空きスペースをsoucoのマッチングサイトに登録、利用者が自分のニーズに合致した登録内容を検索できる仕組みとなっている。利用者が保管や各種作業をするスペースとの前提で貸し出しているため、入出荷などの人手を利用者で確保する必要がある。
一方、荷役作業込みの「寄託契約」の場合は、営業倉庫の一角を提供する形となり、ピッキングなどの業務も営業倉庫側が行うため、利用者としては現場業務の設計や荷役の負荷を解消できるのがメリットだ。「パレット1枚分」といった荷物のボリューム単位で倉庫の空きスペースを使いたいとのニーズに合致しており、作業をしやすくするため、利用者は預ける荷物の荷姿をsoucoが指定するパレットや木枠木箱、かご台車などに統一する必要がある。
実際、倉庫内作業スタッフを確保するのが難しくなっているのを受け、「寄託契約」を希望する声が多くなっているため、soucoは荷役作業込みでサービスを使いたいとのニーズへ確実に応えらえるよう、倉庫事業者にもより幅広く空きスペース解消のメリットを説明、同社のマッチングサービスへの登録を募る構えだ。
寄託契約を使いやすくするため、これまでは倉庫の利用者と提供者の間で利用契約を締結する形としてきたが、3月以降はsoucoを介して基本契約を結ぶ形に利用規約などを変更する。soucoは成約のたびに利用者と提供者が契約を締結し直す必要がなくなるため、よりスピーディーに倉庫を使えるようになると見込む。2月3~29日を新たな利用規約への移行準備期間と設定、サービス利用者に周知徹底を図っている。
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(藤原秀行)