仕事中の事故への賠償金、従業員が会社に請求可能

仕事中の事故への賠償金、従業員が会社に請求可能

最高裁が初判断

仕事中に起こした交通事故で被害者側に損害賠償した従業員が、賠償金の分担を勤務先の企業に請求できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が2月28日、最高裁判所第2小法廷(草野耕一裁判長)で開かれた。

4裁判官全員一致の結論として、「相当と認められる額を請求できる」との判断を初めて示した上で、原告側の請求を退けた2審の大阪高等裁判所判決を破棄、双方の負担額を算定するため審理を同高裁に差し戻した。

民法は雇用主が被害者に賠償金を支払った後、従業員に相応の分担を求める「求償権」を認めているが、逆のケースは明確に規定していない。従業員が企業に対して行う「逆求償権」を認定した今回の判決は企業の活動や損害賠償の実務に影響を及ぼす可能性が大きい。

原告の女性は福山通運にトラックドライバーとして勤務していた際、大阪府内で死亡事故を起こし、被害者遺族に損害賠償として個人の負担で約1500万円を支払った。その後、福山通運に同額の支払いを求めていた。

判決に際し、裁判官の補足意見として、運送事業者は損害保険加入で賠償の責任を十分果たせるようにすることなどが求められると指摘した。運送業界は今後、対応を考慮する必要がありそうだ。

(藤原秀行)

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