(橋本愛喜著、新潮新書)
社会を支える重要な役割を担っているはずなのに、いまだにネガティブなイメージを持たれがちなトラックと、ハンドルを握るドライバーたち。そんな仕事に昔就いていた、今はフリーライターの著者が自らの経験も踏まえ、真相に迫った。「態度が悪いのには理由がある」「トラックドライバーの人権問題」「高い運転席だから見えるあれこれ」などなど、目次の各章タイトルからして魅力的。一匹狼的でありながら実は人恋しく寂しがり屋、情に厚いドライバーたちにつきまとう誤解を払拭しようと努めるとともに、ドライバーたちにもごみのポイ捨てなどマナー違反を止め、存在価値を上げようと訴える。堅苦しくならずユーモアは忘れず、だけど真摯なスタンスを貫く本書は、運送業界以外の人にこそ1冊でも多く届いてほしい。(2020年3月刊・760円)
(藤原秀行)