浦安と東葛西にマルチテナント型を開発
城東No.1の物流施設プロバイダー目指す
シービーアールイー(CBRE)
アドバイザリー&トランザクションサービス
インダストリアル営業本部 本部長
小林麿氏
アライプロバンス
代表取締役 専務
新井太郎氏
浦安で10年ぶりの大型開発
──アライプロバンスは7月、千葉県浦安市港に大型マルチテナント型物流施設を着工しました。
CBRE・小林「浦安で大規模な賃貸物流施設が建設されるのは2008年以来のことになります。浦安は誰もが認める物流一等地ですが、もともと面積が限られていて、今回の港地区および隣の千鳥地区を含めても用地の供給はまったくありませんでした。今後も出てこないだろうと言われていた場所です」
アライプロバンス・新井「当社の前身、旧・新井鉄工所の工場跡地を物流用地として開発します。首都高湾岸線『浦安IC』から約3キロメートル。JR京葉線の新浦安駅と舞浜駅からそれぞれ3キロメートル余りという鉄鋼団地内に立地しています。同団地内に賃貸物流施設はありません。そこに敷地約1万5千平米・延べ床約3万4千平米の施設を建設します」
「江戸川区東葛西にも延べ床11万5千平米の施設を建設できる工場跡地を用意しています。昔は『雷(いかずち)』という地名で大規模な工場が建っていた場所ですが、今では大型店舗が建ち並ぶ賑やかなショッピングゾーンとなっています。物件は複合商業施設『アリオ葛西』の隣接地で既に土壌処理も進んでおり、これも大型マルチテナント型物流施設として開発することを検討しています」
CBRE・小林「そのエリアでそれだけの規模の賃貸物流施設を開発するという話は聞いたことがありません。都下や外環道エリアの工場跡地に物流施設を建設するケースはあっても、23区内にはまず見られない」
アライプロバンス・新井「もともと当社は現在も本社を置く東京・錦糸町に、私の曾祖父が明治36年に創業した金属加工業者でした。戦後は石油の掘削に使用する油井管の継ぎ手(カップリング)を世界中に輸出していたのですが、産油国の保護政策や新興国の価格攻勢によって次第に国際競争力を失っていきました。時代と共に産業が変化していくのは避けられないことです。これまで当社は120年近い社歴において何度も産業の盛衰に直面しながらそれを生き延び、安定した経営を続けてきました」
「今回も事業転換を図るにあたり、新しい時代において当社が何を強みとして、どのように社会に貢献すべきなのかを改めて検討しました。そこで注目したのが物流です。ECが急速に普及して、物流のラストワンマイルが社会的な課題になっている。それに対して当社には城東地区、湾岸地区に先人たちが残してくれた不動産を所有している。このエリアがどのような土地なのか、歴史や文化まで知り尽くしています。その強みを生かして時代の物流ニーズに応えたい。そう決意して7月に社名もそれまでの新井鉄工所から現在のアライプロバンスに一新しました」
浦安市・鉄鋼団地内の建設予定地
施設概要
(仮称)浦安市港物流センターの概要
所在地:千葉県浦安市港69 番
交通:JR 京葉線 新浦安駅約3km 舞浜駅約3.5km
東京ベイシティバス 新浦安駅発みなと第一バス停 目の前
構造:鉄骨造4 階建て
敷地面積:14,878㎡
延床面積:34,567㎡
用途地域:準工業地域
建藪率:60%/容積率:200%
完成時期:2021 年10月竣工
浦安市港物流センター開発プロジェクトの詳細はこちら
CBREをパートナーに
──パートナーにCBREを選んだ狙いは。
アライプロバンス・新井「昨年2月に不動産事業の統括責任者として田草川直樹取締役を迎え入れました。ゼネコン出身で不動産開発と賃貸管理に長年携わってきた人材です。彼が中心となってパートナーを選びました。他にも候補は挙がりましたが、CBREは物流不動産市場のパイオニアであり、ナンバーワンの実績がある。やるからにはトップの会社と手を組みたいと考えました。CBREにはその豊富な経験と専門知識で、当社が開発する物流施設の企画からリーシング、竣工後のプロパティマネジメントまで一貫して支援いただきます。また今回の取り組みを通じて、われわれ自身も力を付けていきたい」
CBRE・小林「CBREは不動産賃貸・売買仲介にとどまらず、各種アドバイザリー機能や施設管理などの幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。独立した事業者として、中立的な立場からサービス提供を行えることが強みであり、アライプロバンスさんとは理想的な補完関係を築くことができます。当社は今年2月に創立50周年を迎えました。物流不動産については前身となった生駒商事の時代の1970年代から倉庫の仲介を手掛けてきました。当時は倉庫を賃貸すること自体があまり一般的ではなく、ニッチな市場でした。しかし、物流不動産市場は、多少の浮き沈みはあっても一貫して成長していく──そう主張し続けてきた自負があります」
──浦安のセンターのコンセプトは?
CBRE・小林「4階建ての施設をA~Dの4区画に区分して、最大4テナントが利用できるように企画しました。トラックのバースや待機場も十分に確保しました。車両が2階に上がれるスロープを設置、各区画はそれぞれ荷物用エレベーター1基、垂直搬送機1基を備えているので、『1階と4階』『2階と3階』という組み合わせで、実質的に2階建ての施設として利用できます」
アライプロバンス・新井「最小区画約7200平米から1棟借り約3万平米までの多様なスペース需要に柔軟に対応します。都心に近いという立地をテナント様に生かしてもらうとともに、現場で働く人にも喜んでもらえるスタイリッシュな施設にします。当社は資本と経営が一体となったオーナー企業です。決断が早く小回りも効く。地脈、人脈まで含めてテナント様を支援します。きめ細やかな対応ができる城東地区№1の物流施設プロバイダーを目指します」
取材後記念撮影に応じるCBRE小林本部長(左)とアライプロバンス新井専務
株式会社アライプロバンス
1903年(明治36年)、東京・錦糸町に新井鉄工所として創業。製鉄会社向けに部品を加工する金属加工業として出発した。戦後は油井管の継ぎ手(カップリング)の製造に特化して世界トップクラスのメーカーに成長した。その後、経営環境の変化に対応して2016年に工場の稼働を終了。総合不動産事業への業態転換を進めてきた。2020年7月、社名をアライプロバンスに変更。城東地区・湾岸地区を対象とした物流不動産施設の開発に力を入れる。
お問い合わせ先
株式会社アライプロバンス
〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-8-3
https://www.araipro.co.jp/
TEL:03-3633-6931 FAX:03-3631-1286