物流施設の管理をワンストップで代行
不測の事態にも全国網でスピード対応
ザイマックスグループのザイマックスアルファは、オフィス・商業施設・ホテル・物流施設のビルマネジメントや、多拠点企業向けにファシリティマネジメントを行っている。各エリアに配置した専門人材が高い管理品質を維持して、緊急時にも全国網を駆使して即座に対応する。三井物産グローバルロジスティクスは2018年の台風21号で同社に支援を依頼した。(進行役:本誌編集部)
三井物産グローバルロジスティクス
常務執行役員 営業第一本部本部長
水澤 純
ザイマックスアルファ
取締役
原田徹哉
事業継続が施設運営の課題に
──物流拠点政策の最近の傾向は?
三井物産グローバルロジスティクス(MGL)水澤 純 常務執行役員 営業第一本部本部長「拠点の集約と分散という、相反する二つの流れが同時に進行しています。従来は在庫削減や効率化を目的に、小規模に分散していた倉庫を大規模センターに集約する動きがずっと続いていました。ところが近年、事業継続の観点から拠点の分散に転じる荷主も出てきた。いわゆる〝宅配クライシス〟を契機に、拠点を集約するとサプライチェーンの中で配送に無理がかかるという問題がクローズアップされたことに加え、毎年のように大規模災害に見舞われるようになったことが原因です」
「今回のコロナで二極化はさらに進んでいくと見ています。どちらかに寄せていく動きが加速していく。当社は3PLとして、リスク分散やスピード配送を求める荷主には拠点分散を提案し、コスト削減を重視する場合には集約を勧めるといったように、お客さまのニーズを見極めて柔軟に対応しています」
ザイマックスアルファ 原田徹哉 取締役「われわれもニーズが二極化する、あるいは使われ方が多様化していくと考えており、これまで物流企業が内製化していた施設管理の部分で人的負荷が高まると予測しています。拠点が増えれば管理が煩雑になり、品質のバラツキなどの課題が顕在化します。また、大規模拠点の管理には専門知識が必要です。それらに対して当社は施設管理のプロとして、お客さまの定めた品質管理基準に則り、あるいは基準を一緒に作り上げ、北海道から九州まで拠点がどこにいくつあっても、均一の品質と安心を提供しています。拠点にはそれぞれ地域性や運営上の特性がありますから、リアルタイムで情報を一元管理して、それを加味した上で全国的に統一された基準を満たすことがわれわれの役割だと考えています」
──MGLでは物流施設をどのような体制で管理しているのですか。
MGL・水澤「実は現在、改革を進めている最中です。当社は三井物産傘下の営業倉庫会社・旧トライネット・ロジスティクスとフォワーディングの旧トライネットを2017年に統合して発足しました。従来、旧2社は拠点別の独立採算制をとってきました。それを東西2本部制にして『面』の展開に切り換え、リソースを相互で融通したり、ニーズに柔軟に対応できるようにしました。既に営業やオペレーションは新体制が定着しました。それと並行して物流施設の調達やメンテナンスも、物流施設開発部という専門部署に機能を集中させて外部から採用した専門人材も活躍していますが、現状は方向性を確認しながら管理体制の一元化を進めているところです」
「当社の物流施設は現在約6割が自社保有物件、4割が賃借という比率です。物量の変動を賃借で調整する形で運用しています。また自社保有物件のうち3割は他社に賃貸していますから、賃貸借は常に発生します。その機能は営業倉庫会社として伝統的に持っています。しかし、ビル管理の機能まで全て自前でやろうとすれば展開スピードが遅くなってしまう。そこは専門企業と役割を分担したい」
ザイマックスアルファ・原田「倉庫会社や3PLの多くは、いわゆるAM、資産管理の機能は社内に持たれています。また、テナント誘致・対応など施設運営面全般を担うPMは、社内で処理している会社と、外部に委託している会社が、恐らく半々くらいではないかと思います。それに対しビルメンテナンスは建物設備の専門知識が求められる部分ですから、物流会社が専門人材を抱え込むより、アウトソーシングが有利だと思います。実際、物流施設管理の外部委託は加速度的に広がっています」
MGL・水澤「AMの部分、特にテナントリーシングはわれわれの本業の一つですから、社内で人材を育てていく。一方、PMの中でコアではない部分についてはパートナーを活用していくのが基本方針です。ただし、その場合にもパートナーを見極める〝目利き〟と、制御する機能は手放せないという考えです」
全国均一の管理品質を実現
──ザイマックスをどう評価していますか。
MGL・水澤「2018年9月に台風21号が近畿地方を直撃して六甲アイランドが冠水した時には、大変に助けられました。高潮で電源設備が水に浸かって停電した。低温倉庫の食品など溶けてしまえば全損です。とっさに頭に浮かんだのがザイマックスさんでした。真夜中に緊急連絡したのですが、次の日には発電機を確保してくれました」
ザイマックスアルファ・原田「大規模災害では発電機は争奪戦になります。連絡を受けてすぐ関西エリアのグループ会社と連携を取り、夜中のうちに大型発電機2機を確保しました。それを当日中に現場に持ち込んで、当社の工事部門の作業員が徹夜で電気設備の不具合を調べ、仮設発電機をつなぎました。翌朝には操業可能な状態に持っていきました」
「物流はライフラインですから事業継続がとりわけ重要です。物流施設の操業を止めないために常にアンテナを張って、事前準備をしっかり整えています。また当社は全国網を敷いているので、被災地で必要な資材や人員が調達できない場合には、他のエリアと連携して調達したり、応援を送ったりできます」
MGL・水澤「それをやり切ってくれたことが大きい。スピード勝負の状況下、上司の承認を取るのに手間取ったりしていれば時機を逸してしまう。ザイマックスグループの連携力を示してくれました。そのおかげで当社の拠点は被災したエリアで最も速く復旧できました。主要荷主から大変に感謝されました」
ザイマックスアルファ・原田「当社は、物流業界のお客さまの期待に応えるため、当面は次の二つに特に注力します。一つはエリア戦略です。オフィスビルや商業施設と比べて物流施設は特定の地域に固まって立地しています。そこで当社もリソースを地域集約的に投入することで、エリア内のバックアップ体制を強化する。さらにそれをエリア間で補完し合うことで、どこで何が起きても対応できるようにする」
「もう一つはノウハウの共有と技術的な支援です。当社は『ITBM(InformationTechnology Building Maintenance)センター』と呼ぶ施設に熟練のテクニカルアドバイザーを常駐させて、必要な情報やノウハウをデータベース化しています。現場を巡回している設備員がスマートフォンを介してリアルタイムで指示を受けたり、資料を相互確認したりして、全国一律の管理品質を維持する上で大きな役割を果たしています。そうした技術的な支援を今後さらに強化していきます」
MGL・水澤「これからもザイマックスにはパートナーとしての協力を期待しています」
「ITBMセンター」にテクニカルアドバイザーを常駐、現場の設備員と連携して全国の施設を管理している
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