日本郵政が楽天に8%出資へ、中国のテンセントや米ウォルマートも★続報3(完)

日本郵政が楽天に8%出資へ、中国のテンセントや米ウォルマートも★続報3(完)

資本・業務提携合意を正式発表、物流業務効率化の促進など狙い

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楽天と日本郵政は3月12日、資本・業務提携で合意したと正式発表した。同日、合意書を締結した。

楽天は昨年12月、日本郵政グループの日本郵便と物流領域の戦略的提携に向け基本合意していた。業務提携にとどまらず資本提携にまで踏み込み、ECの受注に関するビッグデータを活用した物流業務効率化を促進したり、携帯電話や金融などの領域でより結び付きを深めたりする狙いがある。

提携では共同物流拠点の構築や配送システムの共同化、郵便局での楽天の携帯電話サービス紹介などを検討。保険や金融、物販の面でも連携を模索する。楽天にとって全国に約2万4000カ所展開している郵便局は、拡大を目指している携帯電話事業などで、地方エリアへの営業拠点として活用できると期待しているようだ。

日本郵政が楽天の第三者割当増資のうち、約1500億円を引き受け、3月29日付で8・32%出資する。出資完了後は資産管理会社のクリムゾングループや楽天の三木谷浩史会長兼社長らに続いて第4位の大株主となる。

「世界に類を見ない新しい提携のパターン」と自信示す

第三者割当増資は併せて、中国のインターネット大手、騰訊控股(テンセント)のグループ会社が約650億円分、米ウォルマートが約166億円分をそれぞれ引き受ける。楽天は増資で計約2423億6700万円を調達、携帯電話の基地局整備などに充てる。

楽天はテンセントグループとの結び付きを強め、インターネット関連サービスの拡充を図る。ウォルマートとも連携を強化し、EC領域の競争力強化につなげたい考え。

東京都内で3月12日に記者会見した楽天の三木谷浩史会長兼社長は「さまざまなインターネットビジネス、メディアビジネスなどを国内外で展開してきた当社のようなベンチャー企業が、郵便事業という歴史のある、そして日本全国にネットワークをお持ちの日本郵政さんと戦略的パートナーを結べるのは世界に類を見ない新しい提携のパターン」と語り、提携で相互の事業を補完し合えると自信を見せた。

日本郵政の増田寛也社長は「全国に展開する郵便局と強固な物流網というリアルネットワークを強みとしている日本郵政グループにとって、先進的なデジタル技術と豊富なノウハウを生かし、さまざまな事業領域においてインターネット関連サービスを提供されている楽天グループは、私どもにとって最高のパートナー」と強調。提携効果の発揮に期待感を示した。


東京都内で記者会見を開いた後、撮影に応じる楽天の三木谷社長(左)と日本郵政の増田社長

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(藤原秀行)

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