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資本・業務提携「企業文化の違いが相互に刺激」

資本・業務提携「企業文化の違いが相互に刺激」

楽天・日本郵政共同記者会見詳報(後編)

前編:資本・業務提携「日本社会にとっても歴史的な1ページ」

楽天と日本郵政は3月12日、資本・業務提携で基本合意したと発表した。東京都内で両社首脳が同日、記者会見した内容の詳報をお伝えする。

「地方創生に関するECも積極的に展開したい」

▼質疑応答

――出資比率を8%とした意味合いは何か。8%からさらに増やしたり、株を持ち合ったりする考えはあるか。業務提携で関わってくる金融については、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含めるのか。決済のペイサービスとEC、サービス上はどのような連携を想定しているのか。スーパーアプリのような形を模索することはあるのか。

増田氏
「私どもの方では、業務提携を超えて資本提携を進めていくということだが、そのことによって、より提携のレベルが深まっていくと考えている。そして、どういう出資をしていくのかについても、われわれとしてもやはりリスクとリターンを慎重に検討した上で判断をした」
「当然のことながら、物流でこのような業務提携をしていくということは昨年の12月に発表したが、さらに物流の中身についても、いわゆる業務の効率化のようなところからさらに超えて、より多くの荷物を積極的に両社で増やしていく、そして可能な限り、私どもから見れば日本郵便を使っていただいて、それを私どもはお客様のところに届ける、それを通じて地域貢献をしていくというための提携を考えているところだ。その後、これは2問目に関係してくると思うが、それにとどまらず金融についても、それから地方創生に深く関連するEC市場についても、より積極的な提供していきたい。この姿については、今のところまだ発表できる段階にないので、先ほど申し上げたように、4月にその点についてはさらに具体的に発表できるものをまとめていきたいと考えている」
「そこまで考え、そしてわれわれから見ると、楽天はDXの分野において、大変先進的な知識、経験と、ビジネス化についての大変なノウハウをお持ちだ。われわれの金融分野でのアプリなどについても、まだまだやっぱり使い勝手が遅れている部分があるので、そのような物理に限らず、金融についてのDX の進展ということも含めて、今後につなげていく上でやはり深く資本提携し、そして両者間の信頼関係をより強固にしていきたいと考えた。私どもとしては、リスクとリターンを慎重に判断した上で今回の結論に達した。この関係については、適宜、さまざまなことがこれから出てくるようになるので、まとまり次第、適宜ご紹介していきたい」

三木谷氏
少しだけ補足をさせていただく。創業以来、このような大型の出資を受け入れるのはわれわれにとって初めて。その重みを十分感じて、先ほど申し上げた物流だけではなく広範な業務提携を深めていくということで考えている。スーパーアプリとか、そういうことも含めて今後は検討の俎上に上がってくるのかもしれないが、具体的なことについては今後検討していく。ただし、当然物流面においては、ユーザーから見て、物がどこにあるのかとか、そういう利便性を上げていくということがポイントになるので、ユーザー目線から来たさまざまなユーザビリティーの向上は当然進めていきたい。

――昨年12月の段階では物流の提携という話だったが、今回資本提携まで深く入った経緯は。この3カ月で何が起きたのか、どういう経緯でどちらから何を働きかけたのか。楽天にとってはモバイルにすごくお金が掛かる中で1500億円を受け入れることについて、出資額で物流についてはやりくりしていくとの理解でいいのか。企業文化が全く違う2社だと思うが、いつまでに何をするということは現段階で決まっていないということでよいのか。4月の段階で発表するのか。

増田氏
「昨年12月に包括的な合意を発表して以来、物流分野を中心に、あの時はフィンテック、いわゆる金融分野も今後検討するとだけアナウンスしていたが、そこも含めて検討に入ったわけだが、今年の1月になってから、そういった業務提携を超えて資本提携まで進めていった方がいいのではないかということを、具体的には楽天からお話があった。私どももそうしたことについて、その方が提携の実が上がるということを内々に思っていたので、そこでそちらについての話もしっかりと行って今日に至った」
「企業文化は確かに、今までわれわれ日本郵政グループはリアルの世界でずっと仕事をしてきたし、楽天は先ほどお話になった通り、オンラインの世界でさまざまな地域貢献も含めてやってきた。基本とするところはお互い、ここまで大きな社会インフラになっているし、共通する、相通底するところがあると思う。確かに文化が違う部分もあるかともちろん思う。むしろそれがお互いに刺激となって、お互いに相補うような形になっているので、ここがきちんと、トップがハンドリングしながら、今後の展開を隅々まで、われわれにとっては現場まで行き渡らせるということ。極めて社会に価値のあるものが出来上がっていく、それを目指してこれからしっかりとやっていきたい」

三木谷氏
「当然、出資を受け入れるということは、ある程度のダイリューションが起こるということだが、そのダイリューションをはるかに上回る戦略的シナジーがあるだろうということで、今回このように(出資を)受け入れさせていただいた。そもそもは物流ということから入ったが、よくよく見てみると、お互いが持っている資産のシナジーがそれ以外もたくさんあるなということで、これは本当にいいなと」
「文化にも関わってくるが、楽天は他のECサイトがそうかもしれないが、それ以上に、もともと地方の経済をいかにエンパワーメントするかということをモットーに作ってきた会社であり、今でも大切にしている。日本郵政グループの、特に日本郵便さんにおかれても、やはり全国のネットワークをニーバーサルサービス的に、どうやって提供していくかというミッションを社員の方々一人一人持ってらっしゃるんじゃないかなというふうに考えているし、われわれが抱えている、日本全国に散らばっている店舗さん、あるいはホテル、旅館、そういうところも含めて、目指している方向性は今までリアルとネットという形で違ったかもしれないけれども、基本的な、最終的なミッションはかなり同じものではないかなというふうに考えている」
「もう1つ言うと、私はもともと大企業出身なので、いわゆるベンチャーの予算あるいは大企業のパワーというものも理解しているつもりなので、うまい形で進めていきたいと思っている」

日本郵政から楽天に人材派遣も

――人材交流に関して。三木谷社長から親戚のような形という話もあり、増田社長方からは双方でシナジーがあるという話もあったが、実際にDXを進めるにはやはりその相互に社員も含めて行き来するという形の方がより実を伴うのではないか。キャッシュレスに関して。ゆうちょ銀行でゆうちょペイもあり、楽天は楽天ペイがある。すみ分けや連携はどう考えているのか。

増田氏
「人材の関係については、まず、先ほどの発表の中にあった通り、楽天からDXについての有意な方を4月に、完全な転籍という形で私どもとして受け入れるということが1つある。今そういった手続きを進めているところだ。ご承知の通り、そういう方が来て、私どもの中でフルにいろいろ仕事をしていただいても、その方が大変有用な方でも、なかなかやることはいっぱいあるので、むしろ今後の展開になるが、もっとさまざまな場面で交流を深める、場合によっては私どものほうから楽天の方に人材を派遣なり出向させて、それでそちらの方のDX関係のお仕事を学ぶということも今あり得ると思っている。そこは、今後の展開については楽天ともよくご相談しながら進めていきたい」
「金融については、私も今のところ細かに、協議の状況をきちんと聞いているが、いずれにしても、きちんとしたお客様ニーズオリエンテッドで、きちんとサービスが提供できるように話を進めていって、公表できるものはきちんとそのタイミングで公表したい」

――楽天は今までにもワンデリバリーという形で、自前の物流の整備にかなりの資金と時間を使ってきているが、これでどのぐらい加速できたのか、今まで何年がかりでやろうとしてたものが、この提携によってどのぐらい時間が早くなるのか。1500億円の使い道は。資本なのですぐに使うというわけではないだろうが、資本が分厚くなれば資金調達もいろいろ可能になってくる。そういった資金を主にどこに向けていくのか。

三木谷氏
「具体的な期間の短縮については、この場ではちょっと申し上げられないが、いずれにせよ、われわれがまず1つは物流のデジタルプラットフォームを共同で開発していくということにおいて、かなりの効率化がというものが楽天サイドにもできると思うし、日本郵便のさまざまな物流におけるAI導入などでわれわれも貢献できるのではないかなと思っている。そういう意味においては、この全国津々浦々、楽天エクスプレス自体で67%、70&という段階まで来ているが、そこも含めて、今後ご一緒にやらせていただくということを検討していくということで考えている」
「お金をどこに使うかという話に関しては、今もう本当にトランスフォーメーションの真っただ中だと思っている。何もわれわれはモバイルだけではなく、もう世の中が根本的に変わる、そういうここから5年なのではないかなというふうに思っている。そういう時にわれわれ楽天グループとしては先ほど申し上げた物流、そしてAI、またモバイル分野への投資を行っているし、その事業を通じて日本郵政、郵便さんにも恩返しができるんじゃないかなと考えている」

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(藤原秀行)

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