日立製作所、物流など向けロボット開発のKyotoRoboticsを買収

日立製作所、物流など向けロボット開発のKyotoRoboticsを買収

官民ファンドINCJから全株式を4月1日付で取得

※1、2パラ目を一部差し替えました

官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)は4月8日、保有していたスタートアップ企業KyotoRobotics(滋賀県草津市)の全株式を日立製作所に譲渡したと発表した。日立製作所も同日、KyotoRobotics株式の約96%をINCJなどから4月1日付で取得、買収したことを公表した。取得額は開示していない。

KyotoRoboticsは2000年設立。産業用ロボットの開発を手掛け、ピッキングロボットを提供するなど物流現場の自動化・省力化にも注力している。20年度に日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の「ロジスティクス大賞」をPALTACと共同で受賞するなど、技術力が評価されている。日立製作所は自社が持つIoT(モノのインターネット)などの技術とKyotoRoboticsの先進的なロボット制御技術などを組み合わせ、国内外で倉庫や工場の自動化・省人化の需要を開拓していきたい考えだ。

INCJは16年5月に8億円を上限として出資する方針を発表し、実際には4億円を出資。社外取締役を派遣するなど業容拡大をサポートしてきた。

今回の株式譲渡について、INCJは「KRC(KyotoRobotics)の将来の事業発展のためには、SI(システムインテグレーション)企業との密接な連携により、エンドユーザーのニーズをより正確に捉えたソリューション開発が必要。INCJはKRC と日立が連携することで、顧客基盤を拡大するとともに、昨今の労働力不足問題への解消にも貢献できると判断し、両社の提携交渉を支援した」と経緯を説明した。

日立製作所はKyotoRobotics買収の狙いについて「ロボットの3次元ビジョンやAI(人工知能)を活用した制御システムといった高度な独自技術を獲得することで、ロジスティクスおよびFA分野における自動化ライン全体のロボットSIをワンストップかつスピーディーに提供することが可能になる」と強調している。


KyotoRoboticsの知能ロボットシステム(日立製作所プレスリリースより引用)

(藤原秀行)

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