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【独自取材】物流施設など対象の“竣工前セキュリティー認証”、東急不動産が初取得

【独自取材】物流施設など対象の“竣工前セキュリティー認証”、東急不動産が初取得

世界最大級の認証機関SGSグループ日本法人が審査、優良物件のリーシング促進見込む

工場や物流施設といった建物が不審者の侵入などを防ぐために必要なセキュリティー対策を計画しているかどうかを竣工前に客観的な基準でチェック、認証する「SGS施設セキュリティ認証竣工前評価登録」を、このほど東急不動産が東京都江東区東砂で着工したマルチテナント型物流施設「LOGI’Q(ロジック)南砂町」が初めて取得した。

竣工前評価登録は、スイスのジュネーブに本拠を置く世界最大級の認証機関SGSグループの日本法人SGSジャパン(横浜市)が建築図面や防犯システムの導入計画書などの書面でセキュリティー整備の度合いを厳正に審査。条件を満たした場合にのみ認証を付与する仕組みだ。

SGSジャパンは2018年2月から完成後の建物を対象にセキュリティー対策を評価する「SGS施設セキュリティ認証」の審査を担っており、評価対象を完成前の建物にも広げたのが竣工前評価登録だ。物流施設は完成のかなり前からテナント企業の募集を始めるため、物流施設が物理的な面でセキュリティーに配慮していることを早期に認証することで優良な案件のリーシングを促進する狙いがある。

第1号の竣工前評価登録を獲得した東急不動産は、首都圏全域へのアクセスに強みを持つ立地の「LOGI’Q南砂町」で新たな付加価値としてセキュリティーの万全性をアピールし、高額商品のメーカーなどのニーズに応えていきたい考えだ。

また、「LOGI’Q」ブランドの物流施設は太陽光発電で施設の電力を賄うなど、独自性の発揮に努めている。その一環として、立地や取り扱う商品の種類などを踏まえ、他の物流施設で同様に竣工前評価登録を活用することを視野に入れている。


「LOGI’Q南砂町」の完成イメージ(東急不動産プレスリリースより引用)

防犯カメラの角度など細かく確認

SGS施設セキュリティ認証のサービスはSGSジャパンとセコムが共同研究し、サプライチェーンに関係する施設が部外者の侵入や商品の無断持ち出しといった様々なリスク低減のために備えておくべき対策の項目を細かく洗い出し、認証サービスの対象となる汎用的な条件を決めた。

具体的には防犯カメラの設置、施設への入退室管理システムの導入、機械警備の実施、出入口のゲート開設、異常発生を建物内の従業員らへすみやかに知らせて被害拡大を防ぐ警報装置の活用、敷地周辺のフェンス設置などで、審査対象の項目は70程度に及ぶ。例えば防犯カメラに関しても単に取り付ければいいというわけではなく、場所や撮影する方向、台数などを細かく設定。死角を極力なくすとともに施設内をモニターしているカメラの存在を来訪者らに印象付けることでトラブルを未然に回避する実効性を高められるよう腐心している。

併せて、セコムは18年6月から同認証の取得に向けたセキュリティー対策の構築を支援するサービス「セコム・サプライチェーンセキュリティ・セレクト」の提供を開始。安全・安心確保を追求する企業を側面支援している。

物流施設は従業員に加えて日常的に多種多様な人たちが出入りするため、同認証は商品の盗難や紛失といったリスクの回避へハード面で高水準のセキュリティーを確保できるよう企業を後押しすることを狙いとしている。竣工前評価登録は同認証の新たな選択肢として提供している。

同認証は工場や物流施設など向けの「SGS施設セキュリティ認証」と食品工場や食品関連倉庫向けの「SGS食品への意図的な異物混入防御のための物理的対応認証」の2種類を設定。「LOGI’Q南砂町」はこのうちの前者に関し、セコムの支援サービスを活用し、共用部について今年3月に竣工前評価登録を取得した。

「LOGI’Q南砂町」は地上6階建て、賃貸面積は1万4503平方メートル。首都高速中央環状線の清新町ICから約2・8キロメートル、首都高9号深川線の木場ICから約4キロメートル、首都高湾岸線の新木場ICから約5・5キロメートル。東急不動産としては初の東京23区内での物流施設案件となる。22年5月末の完成を見込む。

羽田空港や東京港、成田空港といった主要物流インフラへのアクセスにも優れており、東急不動産は精密機器など輸出入貨物のニーズも見込めると期待。人口密集地にあることや高付加価値商品を取り扱う可能性があることなどから、同社が重視している「安全・安心な物流施設」を担保するためにも、竣工前評価登録の取得に踏み切った。

既に引き合いが多く寄せられており、企業に対して竣工前評価登録の意義を訴え、リーシングに生かしているという。「LOGI’Q南砂町」の完成後は、あらためて共用部で「SGS施設セキュリティ認証」を取得することを検討するとみられる。

東急不動産は透明性かつ客観性のある基準をベースにして実行性の高いセキュリティーを計画できることを大きなメリットと感じており、物流施設のセキュリティー強化の要望に対応できると期待している。完成後にテナント企業があらためて専有部で「SGS施設セキュリティ認証」を取得、アピールポイントとすることも可能という。セコムもセキュリティー需要の増加に対応できるよう、対策構築支援サービスの提供体制強化を念頭に置いている。

(藤原秀行)

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