25年の実用化へシステム確立目指す
OKI(沖電気工業)と国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所(うみそら研)は6月2日、国土交通省が2025年の実用化を目指している自動運航船の遠隔監視・操船に関する共同研究契約を同1日付で締結したと発表した。
自動運航船の実現へ遠隔の監視や操船を可能にし、安全確保と船員の負荷低減につなげるのが狙い。OKIとうみそら研の海上技術安全研究所(海技研)が同契約に基づき、2022年3月末まで実施する共同研究を通じて「船舶用俯瞰映像システム」の確立を目指す。
昨今、大規模な海難事故の発生や世界的な船員不足が問題となる中、海上における安全性確保や生産性向上の観点から船舶運航におけるICT導入促進が強く求められており、その一環で自動運航船の注目度が高まっている。
共同研究はOKIの俯瞰映像モニタリングシステム「フライングビュー」を活用し、広島県を航行する小型実験船「神峰」の周辺映像を海技研構内のコックピットで確認しながら、遠隔操作・操船にトライする。自動運航船における「他船や周囲障害物との距離把握方法の検討」や「夕刻、夜間、波浪ありなどの環境条件を想定した影響把握と対策検討」を行う。
フライングビューは耐環境性に優れ、自動運航船の周囲360度を自由な視点から俯瞰することが可能なリアルタイムリモートモニタリングシステム。神峰に搭載のフライングビューは4台の魚眼カメラと映像合成部、表示部で構成され、映像から周囲360度の俯瞰映像を合成し、表示された映像を自由な視点から見ることにより、広域のシームレスなモニタリングが可能。カメラ映像の合成を映像処理能力の高い集積回路「FPGA」上で行うことにより、小型・省電力で、高画質の映像処理をリアルタイムで実現できるという。
OKIはフライングビューなどの技術を6月2~4日に東京都江東区青海の東京ビッグサイト青海展示棟で開かれる「ワイヤレス・ジャパン2021」に出展している。
共同研究の概要(両者プレスリリースより引用)
(藤原秀行)