ベンチャーの空解・森田CMO、物流事業者との連携に期待
ドローンの開発を手掛けるベンチャー企業、空解(くうかい、東京都町田市)の森田直樹代表取締役CMO(最高マーケティング責任者)は7月17日、独自開発のeVTOL(電動垂直離発着型機)固定翼ドローン「FUSION(フュージョン)」による災害時の救援物資輸送を想定した実証実験の後、現地でロジビズ・オンラインの取材に応じた。
森田CMOは、最長で約120キロメートルを飛行できる設計のFUSIONを医薬品の輸送や災害時の救援物資運搬などに活用したいとの意向を表明。地方エリアでの早期実用化に取り組んでいく姿勢を強調した。また、運送事業者とも連携し、平常時のドローン物流を担うことにも強い意欲を見せた。
同社が実施した実証実験では、FUSIONがマスクや消毒用アルコール、モバイルバッテリーなどを搭載し、千葉県銚子市から茨城県河内町まで利根川の上空を操縦者らの目が届かない目視外の自動飛行で約62キロメートルにわたり無事移動した。eVTOLの飛行実証実験としては国内で過去最長になった。
森田氏は「もう少し機体に用いる素材の吟味などを進めていくため、本格的な機体の販売は2022年になると思う」と展望。国内に製造拠点を置き、量産化していきたいと説明した。また、素材などを変えることで多様な用途に適用できると指摘した。
FUSIONについては「かなり天候条件が悪い時にもテストをしてきた。風速は12メートル以下であれば飛行は可能で、雨天も相当な土砂降りでない限りは対応できる」と悪天候に強い点をアピールした。
実用化した後は機体の製造・販売と、実際にFUSIONを飛ばすオペレーションの両面を担っていくことを想定していると解説。ドローン物流については「被災地への物資輸送や遠隔医療で処方された薬の配送が、地方エリアで一番ニーズがあると思っている。実装できる時期はまだはっきりとは言えないが(自治体や医療機関などと)話は進み始めており、早期にテストをしたい。着実に実績を重ねていきたい」と述べた。
さらに、「運送事業者との提携が必要になるので話をいただければ離島などのエリアですぐに始められるのではないか。5年くらいすれば(FUSIONのようなeVTOLが)普通に飛んでいる時代が来るのではないかとみている。そうなれば宅配にも広く使われているだろう」と語り、運送事業者と連携していくことに期待をのぞかせた。
森田CMO
着陸予定地の上空に到着したFUSION(空解提供)
(藤原秀行)