山梨・小菅村のドローン配送、9月めどに有償化へ

山梨・小菅村のドローン配送、9月めどに有償化へ

エアロネクスト・田路CEOが表明、物流専用機投入も

ドローン開発などを手掛けるスタートアップ企業、エアロネクストの田路圭輔 代表取締役CEO(最高経営責任者)は7月21日、ドローンを用いた配送を今年4月末から試験的に実施している山梨県小菅村でロジビズ・オンラインなどメディアの取材に応じた。

田路氏は、現在使っている汎用機より重い荷物を運ぶことが可能な物流専用ドローンを今年9月ごろから本格的に投入すると説明。併せて、住民のドローン配送への期待が大きいことなどを踏まえ、9月をめどに有償でサービスを開始したいとの意向を示し、より定常的にドローン配送を行うことに強い意欲を見せた。


取材に応じる田路氏

荷物の受け渡し無人化に意欲

小菅村ではセイノーホールディングスと連携し、住民の注文を受けてドローンで食品などを専用の着陸場所まで運び、住民に手渡している。当初は村内8地区のうち1地区に1ルートを設定してスタートし、現在は4地区・5ルートまで拡大。累計で飛行回数が120回を超えた。操縦者らの目が届かない距離まで自動飛行する「目視外飛行」も実施している。

田路氏は物流専用ドローンについて、人口が少ないエリアで目視外飛行を実施する「レベル3」の許可申請を進めており、近く許可を得られるとの見通しを表明。宅配で多く取り扱われている3辺の合計が80センチメートル以内の「80サイズ」の箱を運ぶことが可能なため、多様な荷物に対応できるようになるとメリットを強調した。量産化に向けた試作機が年内に完成する予定で、2021年から量産に入るとの見通しを明らかにした。

また、小菅村のドローン配送については今年中に8地区全てに飛行ルートを開設したいとの考えをあらためて説明。将来はドローンの機体に取り付けたカメラを使うなどして、現在はスタッフを配置している荷物の受け渡しの過程を無人で行えるようにすることを検討していると明かした。

加えて、9月1日を目標として、住民から料金を受け取ってサービス展開する有償化をスタートさせる計画を公表。料金は現時点で500~700円程度を想定しており、決済の仕組みなどを詰めているという。

田路氏は「村民の方々が買い物に困らない生活をまず復活させたい。ドローンは万が一機体が落ちても人的被害がないルートを飛行しており、損害保険にも加入している。飛行中に問題が起こることはほぼなく、一番注意しなければならないのが着陸の部分。いかに安全性を高められるか、引き続き取り組んでいきたい」と語った。今後は医薬品配送、災害時の状況把握や物資輸送などにもドローンを活用できるようにしていきたいとの姿勢を見せた。


物流専用ドローンの機体

(藤原秀行)

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