近畿圏の大規模マルチ型物流施設、空室率は4四半期連続低下し1・7%で15年以降の最低記録

近畿圏の大規模マルチ型物流施設、空室率は4四半期連続低下し1・7%で15年以降の最低記録

CBRE4~6月調査、今後も約9割が内定済み

シービーアールイー(CBRE)が7月30日発表した主要エリアの大規模マルチテナント型物流施設の市場動向調査結果によると、今年第2四半期(4~6月)の近畿圏における空室率は1・7%で、前期(1~3月)から0・2ポイント低下した。4四半期続けて前期の水準を下回り、2015年以降では最低を記録した。

今期供給の3棟のうち2棟が満床で稼働したのに加え、既存物件の空室消化が進んだ。2000坪以上の空きスペースがある既存物件は3棟のみという。

向こう2四半期の供給予定物件を見ても、約9割のスペースが内定済みで、CBREは「需給バランスは逼迫した状態が続く」と予想した。

1坪当たりの実質賃料は4050円で、0・7%(30円)アップした。中心部やスペックの高い物件は評価が上がっている一方、建物のプランや立地、賃料設定によっては引き合いが弱い物件もあるという。


近畿圏の需給バランス推移(CBRE資料より引用)

中部圏も2四半期連続で空室率低下

中部圏の空室率は2・1ポイント下がって6・5%だった。2四半期続けて低下した。今期は新規供給がなかったものの、複数の既存物件で空室が埋まった。

CBREは「来期供給予定物件や22年の開発計画でテナント誘致活動が活発になる中、テナントの具体的な検討が始まっており、内定する区画も出てきた」と分析している。

実質賃料は3590円で、5四半期連続の横ばいだった。全体としてはコストへの見方が厳しくなっている中で、テナントのニーズが賃料水準の低い地域や物件に比較的多いためという。

調査対象は近畿圏が大阪、兵庫、京都を中心に延べ床面積1万坪以上の55棟、中部圏が愛知を中心に5000坪以上の28棟。


中部圏の需給バランス推移(CBRE資料より引用)

(藤原秀行)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事