業務効率化を加速、船腹の有効活用へも応用視野
商船三井とグループ会社の商船三井システムズは9月21日、「数理最適化」を活用した自動車船の貨物積み付け計画自動作成システムの運用を実際の業務で開始したと発表した。
AIの基盤技術の1つを占める数理最適化は、意思決定・問題解決のための手段で、与えられた制約条件の下で目的関数を最小(もしくは最大)にする解を求める。既に資産運用や配送計画、電力運用、スケジューリングなど幅広い分野で活用されている。
商船三井は自動車船オペレータとして世界最大規模の約100隻を運航しており、近年は自動車メーカーをはじめとする顧客の輸送ニーズ・物流パターンが多様化しているため、複雑な積み付け計画が必要となり、作成に要する時間も長くなる傾向にあった。
そこで2019年から大阪大学・梅谷俊治教授の協力の下、数理最適化技術を用いて膨大な組み合わせの中から最適な「配船計画」を短時間で導き出すアルゴリズムと、効率的かつ貨物の安全性を考慮した「積み付け計画」 を短時間で作成するシステムを開発してきた。
このうち、積み付け計画は同システム導入で計画作成時間の40%削減を達成。革新的な先端技術を用いて迅速な意思決定につなげるのに加え、属人性を排することで顧客への対応スピードと集荷力の向上が期待される。
また、荷役効率の向上に伴い、自動車輸送事業における温室効果ガス(GHG)排出量の削減にも寄与すると見込まれる。
両社は荷揃いや運航スケジュールを考慮に入れながら、船の積載可能数量に対し貨物量をコントロールして船腹を最大限有効活用する「スペースマネジメント業務」への数理最適化活用の検討も始めており、自動車船業務を一段と効率化していくことを目指している。
商船三井は経済産業省が定める「DX認定事業者」に選定されており、今後もデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に進めることで一層の輸送サービス品質向上やGHG(温室効果ガス)削減を図る。
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)